ポリエステルガット(ストリング)の特徴って?(長所と短所)【動画有】
ポリやポリガットと呼ばれているポリエステルストリング、ここでは、ポリエステルガットと呼びますが、正式には「ポリエステル系・シンセティック・ストリング」といいます。
プロテニスプレーヤーのほとんどがポリエステルガット(ストリング)を使用しています。
(ガットの縦だけ、横だけ、縦横とも使っているかの使用箇所の違いはありますが)
なぜ、プロテニスプレーヤーや上級者アマチュアはポリエステルガットを選ぶのか、
そしてポリエステルガット(ストリング)にはどのような特徴があるのか、その優れた点と欠点を解説します。
また、代表的なポリエステルガット(ストリング)の紹介もしています。
ガット選びに迷っている方、「ポリに変えてみようかな」とお考えの方、ぜひ参考にしてください。
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ポリエステルとは
ポリエステルは、合成樹脂の中で生産量第三位。
世界中で使用されている合成樹脂です。
ちなみに第一位は、ポリエチレンです。
ポリ袋といえば、イメージしやすいと思います。
ポリエステルの代表選手は、ペット(PET)で、ペットボトルに使われています。
繊維の代表的なものは、フリース生地です。
フリースもポリエステル繊維
ポリエステルガット(ストリング)としての特徴としては、非常に硬く伸び縮みが小さく、丈夫だといということが上げられます。
素材として、水分をほとんど吸収しません。
また、摩擦係数が小さいのも特徴です。
比重がナイロン(比重1.14前後)よりもポリエステル(比重1.38前後)の方が重いので、同じ太さのガット(ストリング)では、ポリエステルガット(ストリング)の方が重くなります。
ラケットに10mのガットが張られているとすると 直径1.30㎜のナイロンガットの重さは約15g 直径1.25㎜のナイロンガットの重さは約14g
直径1.30㎜のポリエステルガットの重さは約18g 直径1.25㎜のポリエステルガットの重さは約17g 直径1.20㎜のポリエステルガットの重さは約15.5g (半径×半径×円周率×長さ×比重=重さ) |
構造は、単一構造のモノフィラメントがほとんどです。
単一構造のモノフィラメント
ポリエステルガットの長所
ポリエステルガットの長所 ☆ボールが潰せるハードな打感 ☆打球が速く、重くなる ☆スピン量の多さ |
・ポリエステルガットに向いている人
ポリエステルガットに向いているのは、学生や超パワーヒッターです。
パワーヒッターに向いているポリガット
テニスはネットを越えさせ、なおかつ、相手コート内にボールを収めなければならないスポーツです。
トッププロの試合は、年々ラリースピードが増していて、それを思いっきり振り切りながら、トップスピンをかけて飛び過ぎを抑え、ボールをコントロールしているのです。
ポリエステルガットは、ガツンとボールを潰すことができますし、このボールを潰すことでホールド感を出し、スピンをかけてコントロールをしています。
この性能が、プロがポリエステルガットの使用を選択している大きな要因の一つです。
ガットが切れにくい、というのも大きな特長の一つです。
試合や練習の途中で、頻繁にガットが切れるようでは使い物になりません。
試合中にガットが切れる心配が少ないので、思い切ってガンガン打っていけます。
硬い素材なのに、速いスイングでボールを捉えると、何ともいえないホールド感が生まれるのもポリエステルガットの特長です。
摩擦係数が小さいと書きましたが、そのおかげでガットが良く動き、スピンが良くかかります。
この現象を「スナップバック」といいます。
【heiji takahashi】
速いスイングで、ボールを潰して、トップスピンをかけて、どんどん相手を振り回す、そんなナダル選手のような、トップスピンを駆使するハードヒッターに向いたガットです。
硬い素材のポリエステルガットには、三角形や四角形、五角形、八角形などの多角形にできたり、ねじりを加えたり、凹を付けたりと、色々な加工ができるのも特長で、ポリエステルならではといえます。
こうした加工を加えたポリエステルガットには、「スピンガット」と呼ばれるものが数多くあります。
5角形ガット
☆もっと上手くなりたい、もっと試合に勝ちたいと思っているならば
ポリエステルガットの短所
ポリエステルガットの短所 ★打球感がハード ★衝撃が大きい ★重量が重い ★テンション維持性が悪い ★ゆっくりしたスイングに向かない |
ポリエステルガットの合わない人
・スイングが遅い人、肘や手首に不安を抱えている人
・中学生以下のジュニア
ポリエステルガットの欠点は、素材の硬さからくるものが多数を占めます。
まずは、インパクトの衝撃が大きいということです。
これにより、肘や手首を痛めることがあります。
特に毎日ハードにテニスをされる方は、疲労が回復する間もなく、また疲労を重ねることになりますので注意が必要です。
故障を抱えている人には不向き
同じようなことがジュニアにも言えますので、成長期のお子さんへのポリガットの使用は、控えた方が良いでしょう。
ポリエステルガットの使用開始の目安としては、ナイロンガットでは2週間持たない場合や、高校生になって体ができ上がってから、にとなると思います。
次に、緩みやすいということが挙げられます。
伸縮性がありませんので、少しの緩みが大きな面圧低下に繋がります。
ポリエステルガットはできれば2週間、長くても1ヶ月で張り替えることが望ましいです。
ポリエステルガットは飛ばない、といわれますが、張り上げてから2週間以上たったガットでは飛ばないのは当たり前です。
切れづらいので、コストパフォーマンスの良さを狙って使っても、ナイロンよりはガットの値段が高いめでもあるので、切れづらくとも張替える必要性があるので、かえってコストパフォーマンスが高くなることも。
張りたてのポリエステルガットは、そんなに飛ばない、ということはありません。
ですが、スイングスピードが遅いと、素材の硬さが顔を出します。スイングスピードが遅いボレーやスライスは、どちらかというと苦手なショットになります。
もう一つには、「角切れ」をしやすいという欠点があります。
角切れとは、ラケット面の真ん中でガットが切れるのではなく、ラケットの先端部分の縦のガットが、金属疲労を起こしたように、プッツリと切れてしまう現象です。
角切れガット(こちらのガットはナイロン)
画像 テニス馬鹿の日記
サービスやスマッシュ、トップスピンはラケットの先の方で打つ傾向にありますので、このようなショットのときに、ガットが切れてしまうことが多いです。
重量が重い
同じ太さですと、ナイロンガットよりもポリエステルガットの方が約3g重くなります。
(「ポリエステルとは」を参照)
ナイロンガットからポリエステルガットに変えるときは、今まで使っていたナイロンより細いものを選びましょう。
代表的なポリエステルガット
ルキシロン LUXILON テニスガット 単張り アルパワー 125 アイスブルー(ALU POWER 125 ICE BLUE) WRZ995100BL 価格:1,910円 |
LUXILON ALU POWERは、世界で一番売れているポリエステルガットです。
ポリエステルにアルミの粉末を混ぜてあり、そのせいなのか柔らかく、ボールがすごく良く飛びます。
その飛びは、LUXLON製品の中でも群を抜いています。
ただし、伸びるのも早く、2週間も持たずに感触が悪くなってしまうのですが、それを差し引いても、このガットの瞬発力に魅せられたプレーヤーが多くいます。
その飛びをお試しあれ。
バボラ BabolaT テニスガット 単張り RPMブラスト(RPM BLAST) 125 ブラック 241101(125) 価格:1,910円 |
BabolaT RPM Blastはラファエル ナダル選手が使っていることで有名です。
打球感はやや硬めで、鈍さは感じません。
8角形の断面になっていますが、角が丸いため、そんなにボールが引っ掛かっている感じではありません。シリコンコーティングがされているため、ガット同士が良く動きますので、スピンに関してはこちらの影響の方が大きいかもしれません。
ガットの太さは、1.20㎜、1.25㎜、1.30㎜、1.35㎜とあります。
ナダル選手は1.35㎜を使用していますが、一般の方が使うには手に余りそう。一番多く使われているのは1.25㎜です。
ヨネックス(YONEX) テニスガット ポリツアープロ120(フラッシュイエロー) 単張りガット PTGP120-557 価格:1,730円 |
YONEX POLYTOUR PROは、オーストラリアの暴れん坊、ニック キリオス選手が使うガットです。
デビスカップ日本男子代表監督の岩渕聡氏が開発に携わったこだわりのガットです。
ポリエステルガットの中ではかなり柔らかい方で、表面がスベスベしているものが多いポリですが、こちらはサラサラしています。
ホールド感があり、さほどスイングが速くなくても使いこなせるガットですので、ポリエステルガットを初めて張ろうとしている方の、入門用として最適です。
太さは1.20㎜、1.25㎜、1.30㎜がありますが、キリオス選手は1.20㎜を使用しています。
スピンに特化したポリエステルガット(ストリング)たち
テクニファイバー Tecnifibre テニスガット 単張り ブラックコード(BLACK CODE) 128 黒 TFSG401(128bk) 価格:1,780円 |
五角形のポリエステルガット(ストリング)、Tecnifibre BLACK CODE
ポリエステルガット(ストリング)の中では柔らかいのですが、ボールの飛びは控えめです。
五角形の構造のため、スピンは良くかかります。
ゴーセン GOSEN テニスガット 単張り ポリロン(POLYLON) エッグパワー(EGGPOWER) 17 122 ブラック TS101 価格:2,040円 |
GOSEN ポリロン エッグパワー17
楕円形に成形した後に、ねじり加工を加えたスピンガット(ストリング)です。
ぐりぐりのトップスピンをかけたい高校生に人気です。
価格:1,300円 |
TOALSONのスピンガット(ストリング)、その名もRENCONデビルスピン
赤い色は赤鬼、青い色は青鬼の表記があり、ネーミングが面白いです。
三つの凸(出っ張り)が鋭いスピンを生み出します。
【12Mカット品】ルキシロン アルパワー ラフ(1.25mm) 硬式テニスガット ポリエステルガットLuxilon BB ALU Power Rough1.25 String WRZ9902 価格:1,510円 |
あのロジャー フェデラー選手が使用していることで有名な、LUXILON ALU POWER ROUGH
こちらは、凹(エンボス)加工がしてあります。
スピンガット(ストリング)の草分け的存在です。
ちなみにフェデラー選手は、縦ガットにウイルソンナチュラル、横ガットにALU POWER ROUGHを張っています。
特殊な構造のポリエステルガットガット(ストリング)
ダイアデム(DIADEM) テニスストリング ソルティス パワー (Solstice Power) 価格:2,673円 |
ダイアデム(DIADEM)のSolstice Power(ソルティス パワー)
このガットは星形の六角形の構造をしています。
硬いポリエステルならではの構造ですね。
まとめ
最近、脚光を浴びているポリエステルガット(ストリング)ですが、その取り扱いには注意が必要です。
ポリエステルガット(ストリング)を必要とする人は、ごく限られた超ハードヒッターです。
プロが使っているから、ナイロンだとすぐに切れてしまうから、というだけで張ってしまうと手首や肘を痛める原因になります。
また、伸びるのも早いので、こまめな張り替えが必要です。
月に二度の張り替えが望ましいのですが、最悪でも月に一度は張り替えましょう。
もしも、ナイロンからポリに移行するときには、比較的柔らかいとされる製品を選んで、ナイロンよりも細いものでナイロンよりもテンションを10%ほど落として張ってみましょう。