テニス上達を目指すプレーヤーにとって「ラケット選び」は、重要です。
自分のプレイスタイルに合っているかどうか、またそのラケットがこれから先、自分の上達に合うかどうかを踏まえて、 ラケットを今後選ぶための7つのポイントを紹介をします。
それぞれのポイントについての基本をもとに、自分の技量ややりたいプレースタイルを加味して、自分に最適なラケットを選んでいってください。
ラケット重量
これからご紹介していくラケットのスペック(仕様)は、ラケットのスロートや
フェイスサイドに記載されていることが多いです。
画像:ダンロップ
テニス上達のために必要なラケット選びのポイントその1。
ラケットの重さをまずは決めることです。
このラケットの重さというのは、軽いものから重いものまで本当に千差万別あります。
軽いラケットは、260g位から10g刻み位であり、そこから大体70gずつ位で上がっていき
重いラケットとなると、310グラム以上のものがあります。
だいたい基本的には「300g」がベースとなるスペックです。
重さが軽ければ、それだけ楽に振れるわけですね。
力のあまり無い方とか、パワーがちょっと落ちてきた男性とか軽いラケットを選んだ方が
良いということになるわけです。
ただラケットが軽くなればなるほど、力がなくて振ることはできるのですけれども、逆に、
速いボールとか強いボールに対して、打ち負けやすくなるわけですね。
今、自分がどのようなラリーをやっているのかというレベルによって、ラケットの重さを考
えてみていただきたいと思います。
軽いラケットを使うと負けやすくなってしまうような球の強さのラリーをしているならば、
あまり軽いラケットではパワーを引き出すことがしづらくなってしまいます。
そうした方であれば、できれば少し重いラケットを使うことによって当たった時に負けづら
くなります。
ラケットの面がスイング時の遠心力で、しっかりとボールをつかんでくれるようになるので
それだけ重い方がブレづらく、負けにくくなります。
ラリーの速さがあったり、強さがある方とラリーをする場面が多い人にとってはある程度、
重さのあるものを選ぶというのがポイントになります。
参考:ダンロップテニスラケット重量
例えばフェデラー選手は、310グラム以上のものを使ってたりしますし、プロの選手は
より重いものを使っていたりします。
当然、重すぎると振りきれなくなってしまったり、振り遅れたりします。
ベースの300g から、10g 落とす↓とか、10g を上げる↑といったように
自分のレベルを踏まえてチョイスをしていきましょう。
テニスが上達したい時に読むのはこちら>>>
フェースの大きさ
上達に必要なラケット選びのポイントその2は、ラケットフェースの大きさですね。
ラケットフェースの大きさというのは、ラケットの面の大きさのことです。
面は、大きくなればなるほど当たりやすくなります。
面が大きいほうが楽に飛んでくれるし、スイートスポットも大きいわけですね。
ですから、パワーがなくて、楽にスイングをしていきたい方にとっては 大きい
ラケットをチョイスすることが必要になってきます。
ラケットフェースの基準としては、「100平方インチ」です。
そこから10インチ大きい、 110とか108とか。
現在、市販されているラケットは95~115位の大きさが多いです。
参考:ダンロップテニスラケットフェイスサイズ
フェースが大きければ大きい程、楽に飛ぶのですが、大きいとそれだけ空気抵抗が
かかってしまいます。 そうすると速く振り抜けなくなってきます。
自分のスイングスピードを上げていきたい方は、あまり大きいラケットを選びすぎ
てしまうと スイングスピードが上がりづらくなるということが言えます。
さらにスイングスピードを上げてしまうと、その大きい面で打つと飛びすぎてしまう
ことが出てくるわけですね。
また、フェイス面積が大きいとストリングがたわんで振動を吸収するので、
打感がぼやける傾向があります。
なので、あまり大きい面を選びすぎてしまうとちょっと弊害が大きく なって
くるということがあります。
フェイスサイズの大きさは、100平方インチがベースです。
(黄金スペックと言われるラケットは100インチの面積)
100インチよりもっと厳しく小さい面になっていくと、ストリングが たわみ
づらく、振り切りや芯に当たった時の食いつきが良くなってきます。
ちょっと前ですけど、フェデラー選手は90インチのラケットを使っていました。
フェデラー選手は、ジュニアの10歳の時にWILSONと契約し、以降終身 スポン
サー契約を結んでいます。
フェデラー選手のプロ転向後使用ラケット変遷
・『Prostaff 85 Mid』85インチ
・『Hyper Pro Staff 6.1 90』 90インチ
・『Pro Staff Tour 90』90インチ
・『n Six.One TOUR 90』90インチ
・『[K]Six.One TOUR 90』90インチ
・『[K]Six.One TOUR 90 BLX』90インチ
・『Prostaff Six.One 90』90インチ
・『Prostaff RF97』97インチ(重さ:366g、グリップサイズG2)
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真ん中に当てる技術が高い人は、小さい面の方がコントロール性能とか飛ばしの感覚面
が小さければ小さいほど、より厳しい面の当て方、ちゃんとスイートスポットで捉えら
れることができるかがポイントになってきます。
ただそれがしっかりと振り切れて当てられることができるようになれば、小さいラケット
の方がコントロールとパワーが出しやすいので、そこを基準に大きさを選んでいきましょう。
フレーム形状
テニス上達に必要なゲット選びのポイント、その3つ目です。
これはフレームの形ですね。
ラケットの形状は、大きく2つに分けると、「box 型」と「ラウンド型」があります。
この「形状」というのは、フェイス部分ではなく、ラケットフレーム断面の形です。
ボックス型は、ラケットフレーム自体が四角い。
ラウンド型は、ラケットがフレームが丸い形です。
現在のラケットの7割近くがラウンド形状と言われています。
★ボックス型特徴
ボックス型の方がしなりやすく打感が柔らかいため、よりコントロールがしやすいと言われ
ています。
スイングが速い方にとっては、ボックス型の方がコントロールがしやすい わけですね。
さきほど言ったラケットが小さくてボックス型というのが一番、 プロ仕様に近いラケット
になっていきます。
ボックス型は、以前は「プロスタッフ」や「プレステージ」にように完全に真四角に近い
フレームでしたが、フレームに丸みを持たせたり、厚みを増したりしています。
フレームの形を外側と内側で変えたり、スロート部をラウンド型のようにしたタイプも開発
され、パワーの出る打感のいいタイプも出てきています。
★ラウンド型特徴
ラウンド型というのは少し丸みのある厚みのあるフレーム形状で、
アタリがねじれづらく、それだけボールへの反発力がしっかりと
出やすくなります。
そのため強く打ち負けづらいというメリットがあります。
ラウンド型で、大きい面のラケットを選ぶと、より楽にボールが飛んでくれる
というわけです。
ラウンド形状にも色々な形があり、バボラのピュアドライブに採用されている
楕円形型が一般的でしたが、現在は三角形状やV型形状などの形のものもあり
ます。
というのも、ツアータイプモデルが従来のラウンド形状によって、厚い当たり
で打った時に「飛びすぎてしまう」という問題が出てきてしまったため。
「飛びすぎずに打ち負けない」設計の製品が開発されるようになりました。
WILSONの「ウルトラ」やスリクソンの「REVO CV」)
ラウンド形状、ボックス形状のラケットに合ったストリングについては、こちらをどうぞ
グリップサイズ、形状
上達に必要なラケット選びのポイント、その4つ目。
これはグリップサイズです。
さらに、グリップの形状も重要です。
グリップは、直接ラケットに触れる大事な情報伝達のパーツですので
プレーへの影響は大きなものがあります。
グリップサイズは、1,2,3,4のように数字が書かれてて
数字が多くなればなるほど太くなります。
よく使われているサイズとなると、1,2,3あたりでしょうか?
グリップサイズの基準となると、「2」になります。
「2」サイズが一番多く流通されていると言われていますが、使用
するプレーヤーの手の大きさや好みが関わってきます。
適正なグリップサイズとしては、
ラケットを握った時にグリップを挟んで親指と中指、薬指、小指
の間に指が1本ギリギリ入るぐらいの大きさ、
さらに言うと親指と中指の第一関節に親指がかかっている位が理想と
言われています。
それぞれの特性としては、
★太いメリット
太ければ、太ければ太いほどボールが当たった時に
手首が固定されるためグリップがブレずに、力強いストロークが打ちやすい。
太い部分を握ってて、ラケットの先っぽでボールに当たるわけですから
面がねじれた時に太い方がしっかり握った状態でいられるわけですね。
★太いデメリット
これは、どういうことかというと…
手首を回す感覚ですとか、ラケットの先を回す感覚といった
リストを効かせづらくなります。
例えばボレーやサーブは、ちょっとグリップが太すぎると打ちづらくな
ります。
★細いメリット
細い方になればなるほど、細いグリップは面感覚が掴みやすいため
ボレーやスマッシュが打ちやすいと言われています。
★細いデメリット
細ければ細いほど、ちょっとボールをスイートスポットから外して打って
ねじれた時に、グルっと手の中で回りやすくなってしまいます。
ストロークや大きいスイングの場合に、オフセンターになった時に
ねじれてしまいやすく手の中で回ってしまいがちになります。
自分のグリップサイズがどれくらいか基準をまず分かっていただいて
そこから例えば
・ストロークがメインでもうちょっと太くして面を安定させたいとか
・細くしてボレーの取り回し良くしたい
といったようにチョイスしていくことがラケット選びのポイントです。
グリップサイズとグリップの外周の関係は、以下のようになります。
グリップサイズ |
日本表記 |
G1 |
G2 |
G3 |
G4 |
海外表記 |
4 1/8 |
4 1/4、4 2/8 |
4 3/8 |
4 1/2、4 4/8 |
mm(約) |
105 |
108 |
111 |
114 |
日本の表記と海外表記の場合で異なる表記をしています。
海外表記の1/8インチ長くなるにつれて、1サイズずつサイズが上がっていきます。
詳しくは、こちらをどうぞ
グリップの形状は、どのメーカーも八角形ですが
握った時に同じ「2」でも、太く感じるとか細く感じるといった印象のものがあります。
扁平気味であったり、丸っぽかったりするので、握り心地・サイズ感が異なります。
- 正八角形に近い「WILSON」
- 太目な傾向の「BABOLAT」
- やや扁平な傾向の「YONEX」
- やや太めな傾向の「PRINCE」
- 若干扁平気味な「DUNLOP」
- 正八角形タイプと扁平タイプで細めの「HEAD」
購入の際は、事前に購買予定のラケットを実際に握ってみることをおススメします。
元々、ラケットに巻かれているグリップテープは変更することができます。
詳しくは、こちらをどうぞ
ストリングパターン
テニス 上達に必要なラケット選びのポイント、その5。
ストリングのパターンです。
このストリングパターンというのは、ラケットのストリングの縦糸と横糸の張りの本数です。
「16×19」「18×20」といったように表記されています。
「16×19」であれば、メイン(縦糸)16本 × クロス(横糸)19本です。
現在多くのラケットに使われているストリングパターンで、「16×19」が基準となります。
本数が多いほど面圧が上がり、ストリングのダンピング(撓み)が少なくなるので、
飛びにくくなる傾向があります。
市場に現在、出回っているラケットとしては以下のパターンのものがほとんどです。
ボールがラケット面に当たった時のストリングのたわみが減ります。
ストリングの本数が増える分、ボールに接地するストリングが多いわけので
食いつく感覚、コントロールがしやすくなってきます。
ストリングの目が細ければ細いほど少しスピンがかかりづらくなりますが、
★目が粗い特徴
目が荒いというか、少し間が空いてると
それだけボールがラケット面に当たった時に食い込みが強くなるわけです。
目に食い込むということは、スピンがかかりやすいので、
スピンをよりかけたい方はストリングの目が粗い方が良いということです。
目が粗い方がスピンがかかりやすいのですが、
これはもう本当に、目が粗ければ粗いほど、切れやすく目が寄りやすくなります。
目が寄ってしまうと、その寄った状態のところに当たると、
すっぽ抜けて飛んでいくという現象が起きやすいんです。
ナイロンで張っているとこうした現象がありますが
ポリは戻る力が強いので、少し緩和されてヨレが戻ることができます。
◎ストリングパターンの目が細かい人は、
コントロールを重視して厚い当たりでしっかりと打てる人
◎ストリングパターンの目が粗い人は、
パワーをスピンに出していきたい人
というポイントで選んでいければいいかと思います。
ラケットのバランス
テニス上達で必要なポイントその6。
ラケットのバランスです。
これはラケットのどの位置に重心があるかを指しています。
下の画像の真ん中がイーブン(標準)バランス。
それに対して、ラケットの先の方が重いか、手元の方が重いかになります。
★トップヘビーの特徴
トップが重い方が振り切りはいいですね。
数値が大きいほど「トップヘビー」になり、遠心力が働くようになります。
ただ逆に、その重さによって振り回されている感覚が出てきてしまいやすいので
どうしてもラケット面が少しブレやすい方が多くなってくるかと思います。
★トップライトの特徴
トップライトになればなるほど、ラケットの先っが軽くなるので
ボレーとかの操作性が楽になります。
ですから、自分のプレースタイルによって
◎ストロークが多めの方は
ストロークや大きいスイングで振るショットが多いことから、トップヘビー気味
◎ボレーが多めのプレースタイルの方は
ボレーなど小さいスイングでラケットを振りやすいことから、トップライト気味
が適しているということになります。
ラケットの重心、バランスに関しては、楽に自分のプレースタイルができる
ものをチョイスをしていきましょう。
下の動画で、テニスの学校 河合校長がラケット選びの6つのポイントをご紹介しています。
フレーム厚
テニス 上達に必要なラケット選びのポイント、その7。
上の動画で触れてなかったラケットスペックのフレーム厚。
フレーム厚はラケットフレームの厚みのことを表します。
フレーム厚は、○○mmという形で表記されます。
フレームが厚くなるほど、ボールの飛びが良くなり、薄くなるとボールの
飛びが抑えられると言われています。
ラケットメーカーは、ラケットのコンセプトによってフレームの厚みをミリ単位で
細かく設計しています。
ラケットフレームの厚みは、ボールの飛びに大きく影響します。
現在、販売されているラケットのフレーム厚は17~30mm程度が一般的です。
- フレーム厚が20mm以下のモデルを「薄ラケ」
- 25mm以上のものを「厚ラケ」
- それ以外のラケットを「中厚」
と呼ばれています。
このフレーム厚。
薄ラケは、フレームすべてが一定のラケットが多く、中厚、厚ラケはスイートスポット
辺りサイドフレームが厚くなっている形状が多いです。
★薄ラケの特徴
薄いフレームは、打った時の柔らかい打感が特徴。
フレームがしなり、ボールがラケットに乗るような感覚を得られます。
ボールが面に食いつくことで、コントロール性が高いです。
けれども、ボールを飛ばす推進力が弱いので、ボールをしっかり飛ばすことのできる
スイングスピードが速く、自分でボールを飛ばすことのできる人でないと振り抜くこ
とが難しくなります。
★厚ラケの特徴
厚みのあるフレームで、しなりをなくして反発力を高めた設計です。
ラケットの力で、ボールが飛ばしやすくなります。
球離れが早いので、細かいコントロールの感覚は出しづらい。
◎厚ラケに向いている方
スイングスピードが遅く、非力な人は厚ラケで重量の軽め(280g以下)の
ラケットがおススメです。
プレースタイルでいうと、ストローカーやカウンター系。
◎薄ラケに向いている方
スイングスピードの速い上級者は、薄ラケで、重量の重い(300g以上)の
ラケットがおススメです。
繊細なタッチができるため、ボレーヤーに。
◎中厚ラケに向いている方
一番ボリュームゾーンとなる、フレーム厚が23~25mm位のモデルは売れ筋の中心です。
中間的な飛びのため、飛びすぎないようにスイングを変に抑えたり、飛ばないか
らといって無理に力んで振らなくても適切な深さにボールを飛ばすことがやり
やすいモデルです。
初心者であっても、ある程度筋力のある方は厚ラケではなく、中厚程度
のラケットから始めても問題ないでしょう。
最後に、おさらいとして下の画像をご覧ください。
DUNLOPのFXシリーズのラケットモデルとスペック表です。
品名 |
FX500 TOUR |
FX500 |
FX500 LS |
FX500 LITE |
FX700 |
フェース(平方インチ) |
98 |
100 |
100 |
100 |
107 |
長さ(インチ) |
27.0 |
27.0 |
27.0 |
27.0 |
27.5 |
平均重量(g/フレームのみ) |
305 |
300 |
285 |
270 |
265 |
フレックス(フレームのみ) |
RA70 |
RA71 |
RA71 |
RA71 |
RA70 |
平均バランスポイント(mm/フレームのみ) |
315 |
320 |
325 |
330 |
340 |
フレーム厚(mm) |
21~23 |
23~26 |
23~26 |
23~26 |
23~27 |
グリップサイズ |
2・3 |
1・2・3 |
1・2・3 |
1・2 |
1・2 |
ストリングパターン |
16本×19本 |
I画像:ダンロップ
左側のツアーモデルから、右側のフレーム厚が厚く、フェイスが大きく、重量の軽い
タイプまでの仕様の違いを見比べるとどのようなユーザーを対象に作っているのか
を読み解けるのではないでしょうか?
まとめ
テニス上達のためには、テニスラケットのスペックについて7つのポイントをご紹介しました。
ラケット重量、フェースの大きさ、フレーム形状、グリップサイズ・形状、ストリングパターン、バランス、フレーム厚をトータルに考えてみてください。
自分のラケット選びは、7つのポイントの色々な部分を総合して完成します。
自分の上達によって、その時のチョイスが変わってくることがあります。
ですから、ずーっとその同じラケットを使い続けるというイメージよりは自分が上達をしていけばいくほど、スペック的に変わっていくということが出てきます。
大体、1年2年ラケットを使った時に自分がどれだけ上達をして、次はどういうステップでどの選択でラケットを選んでいくかという事が必要になっていきます。
そこを踏まえてラケットを選んでみてください。
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