テニスのグリップに握り方、掴み方について意外と皆さんが知らない、もしくは気にしていないことについて今回はお伝えします。
テニスラケットを握り方というと、一般にはグリップが厚い、薄いという表現をします。
コンチネンタルやウエスタンというグリップについてはご存じかと思います。
そうではなくて、手の中でラケットが接する角度が「上から握る」のか「横から握る」かによってプレーが変わってくるということはあまり知られていないかと思います。
「ハンマーグリップ」「シェイクグリップ」といいます。
グリップの特性を生かして効率のいいプレーをしていきましょう。
この記事の目次
ハンマーグリップ
上から5本の指でグリップをギューっと握って、指と指をくっつけるような掴み方を「ハンマーグリップ」と言います。
ハンマー、トンカチを持つような握り方で、グリップに対して手の平の接している面積が狭くなり、ラケットヘッドの可動域は広がります。
厚い握りをしている方に向いている握り方です。
「ハンマーグリップ」のメリット
握りの厚い方(ウェスタン、セミウェスタンの方)がストロークに使う時に親指方向に力を使いやすくなります。
ボールに対して、ラケットをしっかりと後ろから支えた形が作れるようになってきます。
つまり、ラケットを押しやすい打ち方がしやすくなるということです。
トップスピンをガンガン打っていきたいという方には向いています。
グリップが厚い方は、トップスピンを打つ時に、親指方向にラケットを動かしていく振り上げ方、
パームアウト※(ワイパースイング)の動きがしやすくなってきます。
フォアのトップスピンストロークを打つ時には、打点が前にある分、
インパクトしてからは、手首をほぼ固定して、パームアウトが中心になる打ち方です。
(プロネーション(回内)と肘の内旋でラケットヘッド側を上に引き起こす動作)
詳しくは、下の記事をご覧ください。
「ハンマーグリップ」のデメリット
ハンマーグリップは、ラケットを握っている面が狭いので、しっかり握っていないと安定しないことです。
手首がぐらついてしまいがちになります。
ボレーを打つ時にこの握り方をすると、手首が安定しないのでブレてしまいやすくなります。
注意点
■自己流でテニスを始めたという方に多い握り方です。
グリップの握りが強すぎて、5本の指の間隔がほぼない傾向があります。
それによってラケットヘッドが走りづらいので、肘、肩に負担がかかるようなスイングとなっているかもしれません。
■セミウエスタン、ウエスタンなどの厚い握り方でも、ボレーやサーブの時に力が入らないのは…
ボレーやサーブの時には薄い握りにチェンジしていますよね?
もしかして、力が入らないのは、ハンマーグリップになっているからかもしれません。
そうした方は、次にご説明する「シェイクグリップ」で握ってみて下さい。
■コンチネンタルやイースタンといった薄い握りの方が、このハンマーグリップで握ってしまうと…
1.面が支えきれなくなって、不安定になってしまいます。
2.親指方向が前(ネット方向)に向いているので、スイングした時に面が伏せた形になってしまいます。
下の動画内では、河合幸治校長がデモンストレーションしています。
フォアハンドストロークをハンマーグリップウエスタン、ハンマーグリップコンチネンタル、シェイクグリップウエスタンで握って打っています。
ウエスタン、コンチネンタル、「厚い」「薄い」?こちらのグリップの握り方について知りたい方はこちらをどうぞ
シェイクグリップ
握手するを英語でshake handsと言いますが、握手をするようにグリップを持つのが「シェイクグリップ」。
グリップに対して斜めに手の平があたるように握り、
人差し指と中指の間が空いたグリップの掴み方です。
「シェイクグリップ」は、グリップが薄い方に多いですね。
人差し指と中指以下の指が離れた握り方ということから、「ガングリップ(ピストルグリップ)」とも言います。
人差し指を使って、回転やパワーを加えやすい打ち方です。
薄いグリップのコンチネンタルの場合、小指方向に力を使いやすくなります。
「シェイクグリップ」のメリット
広く握っているので、面が安定しやすい。
小指方向にリストを使いやすいので、ボレーやスライスストロークを打つ時にラケットを出しやすい。
「シェイクグリップ」のデメリット
親指方向のリストが使いづらいので、パームアウトの動きがしづらく面が下方向にかぶりやすくなってしまいます。
逆に言えば、薄い握りで面をかぶせた打ち方をしたい方は、こちらの握り方の方が操作しやすくなります。
注意点
下の動画内では、河合幸治校長がシェイクグリップとハンマーグリップのフォアボレーの打ち方の違いをデモンストレーションしています。
違いを確認してみて下さい。
ハンマーグリップとシェイクグリップは、ご自分が使う用途に応じて、使い分けをしていってください。
ボレーを上達させたいと思っている方には、こちらの記事もどうぞ。
テニス肘を発症しやすいグリップ
テニスプレイヤーに最も頻繁に起こるスポーツ障害に「テニス肘」があります。
肘の外側が痛くなる症状が出ます。
テニス肘を発症しても、お休みしないで肘用サポーターなどを使用をしながらプレーしている方は本当に多いですね。
「しばらくお休み」することができない…。
テニスがしたくて我慢ができないんですね。
お休みして、一時良くなってもまた痛くなる。
そんなことを繰り返しているようなら、ラケットの握り方のせいもあるかもしれません。
兵庫県の『つなぐ整骨院』がテニス肘によくなってしまう人について、次のようにまとめています。
出典:つなぐ整骨院
確かに、紹介されている下の握り方(ハンマーグリップ)は、特にストロークでボールに遅れて打つような場面では手首が使えずに、肘が痛みやすくなってしまいます。
小さい関節である手首に負担がかかると、肘や肩へと負担が広がってしまいます。
特に、年齢を重ねていくと関節が固くなってきてしまうので、上の握り方の方が負担をかけずに済みそうです。
テニス肘サポーターについて知りたい方は、こちらの記事をどうぞ
まとめ
テニスで、ラケットのグリップの握り方はとても重要です。
握り方によって、安定したボールを打ちやすくもなりますし、ミスしやすい安定しない打ち方にもなります。
けれども、グリップに正解はありません。
握ってみて、操作がしやすく、手首に負担のかからないのは何か?
強打したり、柔らかいタッチを出せるのは?など、自分に向いている握り方を「厚い」「薄い」だけでなく、手の平の角度から探ってしっくりくる握り方を試しながら見つけてください。
それによって、自分に向いているスイングや体の使い方が見えてくると思います。