テニス ストロークの4つのスタンス 違いと使い分け
テニスのストロークで主に使われる4つのスタンス、スクエア、セミオープン、オープン、クローズドのスタンスを紹介します。
それぞれのスタンスの特徴を理解し、使い分けをできるようにしましょう。
テニスは、よく「手ニス」ではなく「足ニス」だという言い方をします。
テニスは、手で打つスポーツではあるのですが、フットワークが大切だからです。
フットワークを使ってしっかりとボールを打てる足の形をつくることで、体全体のパワーを使って打つことができるようになります。
「スタンス」は、ボールを打つ直前の足の構えのことです。
スタンスによって、ボールを効果的に打つことができます。
ストロークを打つ状況に応じて適切なスタンスをとって、安定したスイングをするようにしましょう。
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4つのスタンス
テニスは、「オープンスキルスポーツ」と言われています。
「オープンスキルスポーツ」は、状況が様々に刻々と変わり続けていくスポーツのことです 。
皆さんのポジションが変わったり、相手が打ってくるボールが毎回変わったり、
皆さんの打ちたいボールが変わったり、対応の仕方が変わったりとか
いつも同じような形でプレーができるというわけではありません 。
ボールを打つ時の足の構えで主に使われるのは
スクエア、セミオープン、オープン、クローズドの4つのスタンスです。
この4つのスタンスのどれが正解で、どれが間違いとか、これをやれば必ずうまくいくというものではありません。
どのスタンスが正解というわけではない
「スタンス」によって、ボールを打つ時の体重の乗せやすさ、身体の回転のしやすさ、リーチなどが変わってきます。
状況や打ちたいボールに応じて適切な「スタンス」を使い分けることで、相手の色々なボールに対してうまく対処することができ、打てるボールの幅を広くできます。
また、テニスの技術の習熟度や、筋力によっても自分の使えるスタンスは変わってきます。
ここで注意したいのが、4つのスタンスの前にストロークは「体を回して打つ」ことが大事であるということです。
まずこれを自分の身体に習慣として覚えこませなければいけません。
プロがやっているからといってオープンスタンスから始めてしまうと、筋力が必要なスタンスなのでうまく体のひねり戻しも使えずにかえって体を回しにくいフォームとなってしまう可能性があります。
体を回して打つひねり戻しの動きを身につけてから、オープンスタンスへと段階を踏んで使えるスタンスを増やしていくことが上達の早道です。
4つのスタンスの種類や特徴を理解してから使うようにしてください 。
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スクエアスタンス
「スクエアスタンス」は、両足を結んだ方向がベースラインに対してほぼ直角になるスタンスです。
初心者の方が、最初に教わることの多いスタンスです。
打つ方向と両足を結んだ線が平行になって、両足の正面が打つ方向に対してちょうど真横に向くような(90度横向き)足の置き方がスクエアスタンスです。
スクエアスタンス
自然とテイクバックができている状態から、身体を回転させればスイングできます。
スクエアスタンスは、両足をつないだ線が、打ちたい方向に向きます。
クロスに打ちたいならクロス方向に、
ストレートに打ちたいならまっすぐに踏み込むことで打ちたい方向にボールを打ちます。
以前はこのスタンスで、打ちたい方向に体重を移動させて打つように指導されていました。
今は体の回転を主体とした打ち方になっていますので、体重移動は少なめです。
体の回転運動と一緒に、重心の移動も使えるので、
「回転+重心移動」を両方組み合わせた効率的な体の使い方がしやすいスタンスです。
スクエアスタンス
打球方向によって足の向きを変えます。
どのようなときに使うかというと
・相手のボールの威力があまりないとき
・短いボールに対して「ステップイン」をして打つようなとき
です。
短いボールへの「ステップイン」とは、構えていた位置より前方に踏み込んで打つことです。
短い球にステップインをして打っていく
逆に、相手から威力のあるボールが来ているのに、踏み込んでしまうとボールに差し込まれて窮屈な形でボールを取る形になります 。
スクエアスタンス 特徴
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体重移動
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後ろ足から前足への体重移動がしやすい。 |
適した状況、場面
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余裕をもって一歩前へステップインして打てるとき。
短いボールに対してのアプローチショットに適している。
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注意点
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横に戻る場合は、前足が一歩前に出て重心も前にかかっているので、戻す分遅くなります。
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セミオープンスタンス
「セミオープンスタンス」は、打つ方向に対して、足の向きが真正面と真横のちょうど中間の斜め45度位に向いたスタンスです。
セミオープンスタンス
セミオープンは、オープンスタンスとスクエアスタンスの中間のスタンスです。
オープンスタンスから、右足を一歩後ろに下げて、体を半身(はんみ)に向けて構えます。
このスタンスは、スクエアスタンスよりはそんなに大きな体重移動は使えないのですが、体のひねりの大きさをしっかり取れて、ひねり戻す回転運動を使った打ち方ができます 。
しかも、余裕があれば、スクエアスタンスへ移行して踏み込んでも打てるという便利なスタンスです。
よりグリップの厚い人や、よりスピンをしっかりかけたい人に向いたスタンスです。
セミオープンスタンス
現代はいろいろなボールに対応することが求められていて、このセミオープンスタンスは適応範囲が広いためよく使われます。
セミオープンスタンス 特徴
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体重移動
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真ん中から前。 |
適した状況、場面
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相手のボールに威力があって、踏み込んでいくと詰まってしまうような状況のとき、懐を深くして入り込んできた相手のボールを回転運動を使って打つ。
グリップの厚い人や、スピンをしっかり掛けたいときに向いたスタンス。
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良い点
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横向きを作って、体の回転のためのひねりを作りやすい。
前に踏み込むときと踏み込まないときのどちらにも打ち方を変えやすい。
攻撃にも守備にも適している。
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「フォアハンドスピン」を打つ場合には、一番構えてほしいのがセミオープンです。
セミオープンは、上体をひねりこんで股関節に重心を乗せやすく、スイングする際に体を回転させてもバランスを取りやすいスタンスです。
ただし、相手のボールがあまり飛んで来ないような状況で使ってしまうと、体のバランスが崩れてうまく打てない状況になりますので注意してください。
セミオープンについてはこの記事もお読みください。
フルオープンスタンス
「フルオープンスタンス」は、ベースラインに対して平行に足を開いて構えるスタンスです。
省略して、オープンスタンスと言うことが多いです。
フルオープンスタンス
相手のコートに対して、真正面に足を向けた状態で体をひねって、ひねった体を戻すスタンスです。
フォアハンドの場合、両足は一直線に並ぶように置き、両足をつないだ線は打ちたい方向に対して直角かやや斜めになります。
体重移動を使って打たないショットに関しては、打点でコースを変えるのでスタンスは同じ場合もあります。
フルオープンスタンス
速いファーストサーブへのリターンのような余裕のない状況で使います。
横にボールが来て、足を横に向ける余裕がないときに、腰から上の「ひねり」と「ひねり戻し」だけで合わせて打っていくような場合にフルオープンを使います。
上半身のひねり、ひねり戻しのみで打つ
フルオープンスタンスは、足を遠くに広げて打つことで、リーチも広がります。
両手バックハンドの選手でも、このフルオープンによって片手打ちの選手並みのコートカバーができます。
ジョコビッチ選手は、オープンスタンスでのカウンターショットが得意です。
画像 インスタグラム
上級者やプロは、オープンスタンスで高い打点から強打しています。
これはかなり難しい技術なので、その前段階で必要な基礎技術を身につけてから段階的に打つようにしましょう。
画像 インスタグラム
オープンスタンスで気をつけたいのは、相手のボールがあまり飛んで来ないような状況で使ってしまうと、体のバランスが崩れてうまく打てない状況になってしまうことです。
フルオープンスタンス 特徴
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体重移動
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重心移動はほとんどしない。
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体の回転
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体の回転運動を使いやすい。大きくひねることができる。
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コートカバー
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相手のボールが速い場合や深い場合に対応しやすい。
遠いボールでも打球後のリカバリーにも入りやすい。
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適した状況
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体のひねる動きや足の置き方を変える時間的余裕がないという状況に使える 。
速いファーストサーブに対してのリターンに使う 。
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良い点
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コートカバーの戻りが早い。足を遠くに広げてもそのまま打てる。
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クローズドスタンス
「クローズドスタンス」は、両足の位置がベースラインに平行ですが、足を閉じて構えるスタンスです。
打ちたい方向に対して、横方向に踏み込んで打つスタンスです。
相手のコートに対して、お尻が向く構え方です。
クローズドスタンス
クローズドスタンスは、踏み込み足を軸足の前に踏み込みます。
体重移動を使って打たないショットに関しては、打点でコースを変えるのでスタンスは同じ場合もあります。
クローズドスタンス
相手に対して背中やお尻を向けるような形ですので、この形から回転運動を使うのは体に非常に無理がくるスタンスです。
クローズドは、回転しにくい
このスタンスは、フォアハンドで時間に余裕があるときはあまり使われません。
以前のテニスで、フォアハンドでもスライスをメインのショットとして使うときには、身体を開かないようにして打つ打ち方として使われることが多かったものです。
今のフォアハンドだと、このスタンスでは腰の回転がしづらくひねり戻しを使いにくいのでスピンではあまり使われません。
しっかりボールをハードヒットしたいときやスピンをかけていきたい状況のときには、クローズドスタンスでは体がうまく使えなくなりますので使わない方が得策といえます 。
ただし、片手バックハンドには向いています。
しっかり体をひねって体を開きすぎないように横に踏み込んで、体をある程度閉じた状態をキープしてインパクトしていくときに使います 。
片手バックハンド
また、片手バックハンドで相手に振られた時に、スライスでリーチ(ラケットの届く範囲)を稼ぎたい時にもクローズドスタンスは非常に適しています 。
片手バックで振られたとき、こういう形でも返すことができます
また、フォアハンドでもクローズドスタンスが適した状況があります。
フォアハンド側に大きく振られて走りながらフォアハンドを打つ時は、スイングをする前に一度利き手側軸足でタメを作ります 。
振られている状況ですので体が横方向に行きます 。
その次にスイングをしながら、非利き手側踏み込み足を前に出してスイングをしていくやり方は、フォアハンドでクローズドスタンスを使うのに適しています。
大きく振られて走りながら打つときに有効
クローズドスタンス 特徴
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体重移動
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重心は真ん中に置いておく。
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体の回転
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横に踏み込むので、体が回しづらい。
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適した状況
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大きく振られて走りながら打つような体が移動方向に流れているとき。打った後軸足を蹴って戻るような場面で使える。
浅いボールへの対応。
片手バックハンドストローク。
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良い点
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横方向の動きに対してバランスをとりやすい。
体を回しづらいので、体を回しすぎないスライスには向いている。
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グリップとスタンスの関係性
スタンスはグリップとも関係があります。
必ず、すべての場合に当てはまるわけではありませんが
・グリップが薄いほど、スタンスは閉じた方が打ちやすくなります。
・グリップが厚くなるとスタンスは開いた方が打ちやすくなります。
基本的に体を開くスタンスになるほど、体を回転させて打ちやすくなります。
オープン(身体を開く)>セミオープン>スクエア>クローズド(身体を閉じる)
クローズドスタンスのような閉じたスタンスは、身体の回転が使いにくくなります。
このことも頭に入れて、打ちやすいスタンスを意識してプレーしてみてください。
まとめ
スタンスにはそれぞれ特徴があり、それでなければならないというものではありません。
ただ、選んだスタンスによって体の回転のしやすさが変わってきますし、対応できるボールの球筋、球種も変わってきます。
ストロークではスクエアかセミオープン、リターンのときはスクエア、セミオープン、フルオープンのスタンスを使った方が体重移動や回転運動を使いやすくなりますので、状況に合わせてスタンスを使い分けていくようにしてみてください。
ボールの弾み方やポジションなどのタイミングによっても、変わりますので、その状況に適した色々なスタンスができるようになりましょう。