ダニエル太郎が「イスタンブールオープン」でツアー初優勝☆日本男子4人目!【動画有】
ダニエル 太郎(Taro Daniel)
2018年5月6日「イスタンブール・オープン」(トルコ/イスタンブール、レッドクレー、ATP250)のシングルス決勝で、世界ランク114位(当時)のダニエル太郎が同78位のM・ジャジーリ(チュニジア)を7-6 (7-4), 6-4のストレートで破り、ツアー初優勝に輝きました。
日本男子では、松岡修造、錦織圭、杉田祐一に次ぐ史上4人目の快挙です。
2018年3月の「マスターズ1000 インディアンウェルズ」2回戦では、ノバク・ジョコビッチ選手に7-6(3)、4-6、6-1で撃破する大金星をあげ、注目されました。
穏やかで爽やかな笑顔の長身イケメンのダニエル太郎選手は、デビスカップの一員としても活躍しています。
どのような選手で、今年のブレイクはどうしてなのでしょうか?
プロフィール
名前 | ダニエル 太郎 (Taro Daniel) |
ATPランキング
(2019.3.18現在)
|
シングルス 72位 |
国籍 | 日本/エイブル所属 |
出身地 | アメリカ合衆国・ニューヨーク |
生年月日 | 1993年1月27 |
年齢 | 31歳 |
プロ転向年 | 2010年 |
利き腕 | 右 |
バックハンド | 両手 |
身長 | 190㎝ |
体重 | 76㎏ |
使用ラケット | Babolat Pure Drive |
使用シューズ | Diadora BLUSHIELD FLY |
使用ウエア | Oakley |
使用ガット | Babolat プロハリケーン130 |
公式サイト(Facebookはログインしないと見れません) |
主な戦績
自己最高ランキング
シングルス 64位(2018年8月27日)
ダブルス 566位(2013年9月23日)
グランドスラム最高成績
全豪 1回戦(2016・18)
全仏 2回戦(2016・17)
全英 1回戦(2016)
全米 2回戦(2017)
家族、ジュニア時代
父がアメリカ人、母が日本人のハーフ。
生まれたのは、父の仕事の関係で滞在していたニューヨークであるが、生まれて数ヶ月しかいなかったそうで、本人の記憶はほとんどないそう。
その後、埼玉県の久喜市の幼稚園、小学校に1年から5年まで通う。
その間、7歳の時から父が通っていた加須市の「武蔵野村ローンテニスクラブ」でテニスを始め、「最初の頃はあまりテニスが好きではなかったことを覚えています。スポーツにはあまり興味がなかったです。」と語っています。
その後、名古屋に引っ越し、12歳位のときには全日本でも準優勝するくらいのレベルになっていたそうですが、その頃父の強い希望により14歳の時に家族皆でスペインに引っ越すことになる。
スペインでは、バレンシアにある「enisVa」は、ダビド・フェレールが拠点とするテニスクラブのアカデミーでスペイン流の粘る泥臭いスタイルを身につけていく。
アカデミーには20~30人くらいの選手がいて、ほとんどロシア人という環境であったため、太郎選手はロシア語も日常会話くらいはできるそうです。
※太郎選手は、マルチリンガル。得意な順にスペイン語→日本語→英語→ロシア語の4カ国を話せます。
経歴
【2010年】プロに転向
【2012年】
・スペイン「F15フューチャーズ」優勝 スペイン「F20フューチャーズ」優勝
・「横浜チャレンジャー」ベスト4
【2013年】
・スペイン「F14フューチャー」優勝 ポルトガル「F9フューチャーズ」優勝
・韓国「寧越チャレンジャー」準優勝
【2014年】
・ATP250「チリオープン」予選を勝ち上がり、ベスト8
・「全豪オープン」(4大大会予選に初挑戦)予選3回戦
・「デビスカップ」準々決勝(対チェコ戦)初の日本代表入り。左股関節のけがで直前に欠場した錦織の代役として緊急デビュー。第2試合でルカシュ・ロソルと対戦し、4-6, 4-6, 6-3, 6-4, 6-2のフルセットで敗れる。
・「全米オープン」 本戦初出場(初の4大大会本戦出場)、第5シードのミロシュ・ラオニッチに、3-6, 2-6, 6-7(1)で破れた。
・「楽天オープン」本戦WC(ワイルドカード)出場
【2015年】キャリア初のATPランキングトップ100入り
・イタリア「ヴェルセリ・チャレンジャー」でチャレンジャー初優勝。
・全仏オープン本戦1回戦、第32シードのフェルナンド・ベルダスコに、3-6, 4-6, 2-6で敗れた。
・ドイツ「フュルト・チャレンジャー」優勝。
・「デビスカップ」(対コロンビア戦)日本代表入り。コロンビアで開催されたワールドグループ・プレーオフ戦に日本代表の2番手として出場。初戦のサンティアゴ・ヒラルド戦は4-6, 3-6, 6-3, 6-1, 4-6とフルセットで敗れた。その後、2勝2敗で迎えた第5戦ではアレハンドロ・ファジャに7-6(3), 6-3, 6-2で勝利し、日本のワールドグループ残留を決める。
・「バレンシア・オープン」本戦2回戦。
・「神戸ノア・チャレンジャー」準優勝。
・「慶應チャレンジャー」優勝、決勝で添田豪を4-6, 6-3, 6-3で破る。
【2016年】
・「全豪オープン」本戦初出場。1回戦でルカシュ・ロソルに6-7(2), 5-7, 7-5, 7-6(5), 1-6のフルセットで敗れる。
・「デビスカップ」1回戦対イギリス戦の第1試合で当時世界ランク2位のアンディ・マリーと対戦し1-6, 3-6, 1-6で敗れる。
・「モンテカルロ・マスターズ」で、予選を通過し、マスターズ1000本戦初出場を果たし、1回戦でアドリアン・マナリノを6-3, 6-4で破り、マスターズ初勝利。2回戦では、第12シードのドミニク・ティームと対戦し6-4, 2-6, 0-6で敗れた。
・「全仏オープン」の1回戦でマルティン・クリザンに3-6, 4-6, 7-5, 6-4, 3-0としたところで、第4ゲーム途中でクリザンが棄権し、グランドスラム初勝利をあげる。2回戦では前年優勝のスタン・ワウリンカと対戦し、6(7)-7, 3-6, 4-6で敗れる。
・「ウィンブルドン選手権」1回戦でフアン・モナコに5-7、6-4、3-6、2-6で敗れた。
・「リオ五輪」にITF推薦枠で五輪初出場を果たす。シングルス1回戦は、第14シードのジャック・ソックに6-4, 6-4で勝利。2回戦もカイル・エドマンドに6-4, 7-5で勝利。3回戦でフアン・マルティン・デル・ポトロに7-6(4), 1-6, 2-6で敗れベスト16となる。
・「デビスカップ」(対ウクライナ戦)ワールドグループ・プレーオフで、シングルス第1試合でセルジー・スタホフスキーに7-6(4), 7-6(1), 6-1で勝利し、シングルス第4試合もA・スミルノフを3-6, 7-5, 6-1の逆転で破り、日本は5-0と全勝し、ワールドグループ残留を果たした。
【2017年】
・アルゼンチン「コパ・シティ・ティグレ」チャレンジャー優勝。
・「全仏オープン」は、1回戦で元世界ランク14位のジャージー・ヤノビッチ(ホーランド)を6-4 6-4 6-4で破って2年連続初戦突破。2回戦で第20シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)に5-7 4-6 6-4 0-6で敗れた。
・「ウィンブルドン」は1回戦で(ミカエル・ククシュキン(カザフスタン)に6-4 4-6 6-7(4) 2-6で敗れた。
・「全米オープン」は1回戦で地元アメリカのトミー・ポールに6-1, 4-6, 4-6, 6-2, 6-2のフルセットで勝利し、大会初勝利をあげた。2回戦で第1シードのラファエル・ナダルに6-4、3-6、2-6、2-6と第1セットを奪うも逆転負けした。
・9月には、拠点をこれまでのスペイン・バレンシアから日本の「味の素NTC」へと移した。
飛躍の年2018年
拠点を錦織圭選手と同じIMGアカデミーへと移しています。
【2018年】 ツアー初優勝
・「全豪オープン」1回戦でジュリアン・ベネトー(フランス)に7-6(6)、6(0)-7、4-6、1-6で敗退。
・岩手で開催された「デビスカップ」1回戦(対イタリア戦)のシングルス第1試合でファビオ・フォニーニ
に4-6、6-3、6-4、3-6、2-6とフルセットの末、惜敗。デビスカップ ファビオ・フォニーニ戦の両ベンチ
・「BNPパリバ・オープン」(ATP1000/アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズ)予選2試合を突破し、本戦1回戦では同じ予選勝者のキャメロン・ノーリー(英国)に6-3, 1-6, 6-1のフルセットで勝利し、2回戦では第10シードの元世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチを7-6(3), 4-6, 6-1で破り、マスターズ1000で初の3回戦進出。
3回戦でレオナルド・メイヤー(アルゼンチン)に4-6 1-6で敗れた。
大金星☆のジョコビッチ戦について
ATP公式サイトは「運命を急速に変える象徴的な勝利」と大番狂わせを演じた25歳を称賛。 この試合は、太郎選手にとって初のトップ20相手の勝利となる。
さらには、「ATPマスターズ1000」の大会でも初勝利をあげることとなった。 (ATPツアーでは2度のベスト8がこれまでの最高成績だった。)
2018年の試合は、それまで本戦未勝利であったが、大舞台での勝利をあげることとなり、その後のキャリアを変える大きな勝利となった。
センターコートでのジョコビッチ戦では、ジョコビッチのフォアハンドが大きく外れ勝敗が決まり、熱狂する会場の中、太郎選手はその場に座り込んでしまった。
自分自身の勝利を信じられないという表情を浮かべたのち、ジョコビッチの待つネットに駆け寄った。 画像 ElCarabobeño |
トルコで開催された「イスタンブール・オープン」ではツアー初優勝!!
1回戦でマテオ・ベレッティーニ(イタリア)、2回戦で第4シードのアルヤズ・ベデネ(スロベニア)、準々決勝でロヘリオ・ドゥトラ・シルバ(ブラジル)、準決勝でジェレミー・シャルディー(フランス)に勝利し、ATPツアーで初の決勝進出を果たす。
決勝で同じくツアー初優勝を目指すマレク・ジャジリ(チュニジア)に7-6(4), 6-4で勝利し、ツアー初優勝を遂げる。
試合後、自身のフェイスブックには
「嬉しいと言うよりはビックリしてます。努力と運が重なってインディアンウェルズとともに結果が出てきた大会でした。夜遅く応援してくれるファンの皆んなには本当にいつも感謝です」
と綴っている。
イスタンブール・オープンの優勝カップ
イスタンブール・オープン優勝後の決めポーズ
プレースタイル改造でレベルアップ!
190㎝の身長で、過去最長身の日本代表と言われる太郎選手。
これまでの太郎選手のプレースタイルは
フェレール選手と同じクラブに所属しているだけあって、スペインのクレー育ちらしい、ベースラインでの粘り強さが持ち味。
状況を見極めるまで、長いラリー戦をじっくりと守り、攻めに転じていくスタイルであった。
自身のコメントより
2017年6月「全仏オープン」第20シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)に敗退したあとのコメントで 「トップに行くのに近道はない。まだまだ遠いな。コツコツ行けば、いつかたどりつけると思っているんで。時間はかかりますけど、焦らないで。行けるとは思っています」。 と地道な努力への覚悟を語る。
2018年1月の「全豪オープン」も初戦で、格上のベネトー選手に敗れるも 「現在は攻撃的なスタイルに変えるため、サーブとフォアを改造中。だから、今年はすぐに結果が出ないかもしれない」と述べている。 |
太郎選手は、守備力は定評がありましたが、190㎝の長身でありながら強力なサーブを持たず、攻撃力があまりなくそこが弱点と言われていました。
また、身長の割りに76㎏という線の細い体躯であり、自身も「課題」だと認めているフィジカルはまだまだ強化していく必要がある。
以前、「僕は27歳が一番良い時期になると思うので、その時に体重が85kgになっているようにしたい。今は80kgを切るくらいなので、1年に1~1.5キロ増やしていきたいです」と言っており、トレーニングを欠かさない。
太郎選手のインスタグラムには、しばしばトレーニングの動画がアップされています
太郎選手のトレーニング風景
太郎選手は、例年2~3月はチャレンジャー大会に参戦することが多かったが、2018年はツアー大会の予選から挑戦したのも、上のレベルでも通用するという自信があったため。
ジョコビッチ戦では、試合中に常に訪れる不安な「黒い雲みたいなもやもや」が訪れても、吹き飛ばすだけの精神力も自分にはあると思えたようです。
他に左右されることなく、堅実に、自分のレベルを上げる努力を続けていき、最近はボールの精度も上がってきてウィナーを取れることも多くなり攻撃力もついてきています。
さらには、長身を生かした高速サーブを打てるようになると、さらに攻撃力もアップし、結果を残せるようになっていくことが期待できそうです。
テニスツアー初優勝後の自身のコメントより
「僕は自分の(成長の)過程を常に信じてきた。すごく楽しい道のりだった」 |
スペイン、バレンシアのLozano Altur Tennis Academyでのパブロ・アンドゥハル選手との練習風景動画です。
Lozano Altur Tennis Academy | Pablo Andújar entrena con Taro Daniel
今後の太郎選手の活躍を期待しつつ、吉報をお伝えしていきます。
【選手画像:出典 インスタグラム】