バランスを調整できる「鉛テープ」で自分に合ったテニスラケットに
あなたは、今お使いのテニスラケットが「ちょっと合わないかもな~」と思うことがありませんか?
サーブやストロークをもっと安定させたいとか、もう少し振り抜きを良くしたい、ラケット面がブレる、取り回しをよくしたい…
などという時に「鉛テープ」を貼ることでラケットバランスを調整できるので、これまでよりも扱いやすくなるかもしれません。
「鉛テープ」とは、どういうものか?貼り方は?などについてお伝えします。
この記事の目次
鉛テープ
どういうもの?
「鉛テープ」とご紹介しましたが、素材としては鉛だけでなく「タングステン」を使用したものも出ていますので、名称としては「バランステープ(リードテープ)」です。
テニスラケットメーカーやテニス用品メーカーから製品が発売されています。
柔らかい鉛が薄く帯状になっていて、裏についている粘着テープでラケットに貼れますので、ラケットをあなた好みにチューニングできます。
スポーツ店やテニス専門店で購入できます。
(釣りやゴルフ用品の「鉛テープ」、「板おもり」を使用している方もおられるようです。)
なぜ使うのか?
せっかく買った自分のテニスラケットがどうも思ったような感じで使えない。
そうした時に、ラケットフレームに「鉛テープ」を貼りつけることは一般プレイヤーでもしばしば行われています。
「鉛テープ」を使うのは、ラケットに少しずつ重さを加える簡単な方法です。
画像:POWERSORB
「鉛テープ」を任意の位置に貼ることで、ラケットの性格が変わります。
目的が、単に重くしたいための場合もあるかもしれませんが、その目的によって貼る位置や重量を考えて貼るようにしましょう。
目的としては、下記のようなことを解決するためです。
・サーブやストロークのスイングスピードを上げたい
・相手の打球が強い時に打ち負けている
・もっとパワフルに打ちたい
・ヘッドを重くしたい、ヘッドを軽くしたい
・ボレーの時に面ブレをしやすい
・ボレーの取り回しをよくした
・スイングウェイトが軽く感じられていて、高くしたい
・スイートスポットの位置を変えたい
こうした時に、おもりを効果的に貼ることで、ご使用のラケットの特性を変えることができます。
貼ることによる4つの変化
■全体的な重量
■重量配分
■フレームのねじれ、またはトルク
■スイングウェイト
「鉛テープ」を貼ることで、当然重量がその分重くなります。
調整して、追加しすぎて重くしすぎてしまわないように!
かえって操作性が悪くなって振り遅れたり、重さを感じて疲れたり、怪我につながる可能性もあります。
はっきり「変わった!」と感じるようなら、ヤリ過ぎとなっているはずです。
5g以下での調整(少なくとも+10g以下)で行うようにしましょう。
同じラケットを複数本持っていて、それぞれのラケットの重さとバランスを合わせることができます。
(同じラケットモデルでも、重量、スイングウェート、バランスの数値が違う数値となるのがふつうです。)
重さを追加するチューニングなので、重い方のラケットに合わせて調整して下さい。
使い方は?
粘着テープによって、シール状になっているので「つけたい場所に貼るだけ!」です。
ただし、つける場所やつける重さによってバランスは変わります。
貼る位置は?
目的に応じて、時計の針の位置を変えて
同じ重量の鉛テープを使う場合でも、貼る位置によってスイングウェイトの増加量は大きく変わります。
グリップ部分に近いところに貼ってもスイングウェイトはあまり増加せず、グリップから遠ければ遠いほど、同じ重量を加えてもスイングウェイトは大きく増加します。
ですから、鉛テープを貼る場合
ラケット先端部に貼る=少ない量でも重く感じる
グリップ近くに貼る=多い量でもあまり重さを感じない
となります。
ラケットのどの位置に貼るかをストリング面を時計の文字盤に見立てて説明していきます。
◆ラケットフェースの横(3時、9時の方向)
◆ラケットフェースの斜め上(2時、10時の方向)
◆ラケットフェースの一番上(12時の方向)
が主だった場所です。
◆ラケットフェースの横(3時、9時の方向)に貼る
ラケットの側面に重量を増やすと、オフセンター時のフレームのねじれを減らすのに役立ちます。
ここに貼ることから始めてみるケースが多いと思います。
面の安定性が増します。
中心を外れて、ボールを打つ傾向があるのならば、ラケットが安定するのでそうしたショットを打った時に成功する可能性が高くなります。
ただし、ここに貼るとスイングウェイトに影響が出るため、振りぬきはやや悪くなります。
ボレーを重視しているのであれば、ここに張ってみると良いかもしれません。
◆ラケットフェースの斜め上(2時、10時の方向)に貼る
適度な重量で、ラケットの先端を走らせやすくなり、振りぬきが良くなります。
また、面のぶれもしづらく、安定しやすくなります。
サーブやストロークを重視しているのであれば、ここに張ってみると良いかもしれません。
ラケットの「スイートスポット」位置も少し上がりますので、ラケットの上部で打つプレーヤーには向いているでしょう。
(現代のラケットの多くは、ラケットフェイスの上部にスイートスポットがあります)
時計の文字盤の位置を上に動かすほど、パワーが増えます。
少ない使用量で、効率的にスイングウェイトを増加できるので、この位置から張ってみるのをおススメします。
さらに先端を走らせたいのなら、11時と1時方向に位置を変えてみて下さい。
(ラケットの先にいくほど、重さを感じやすくなってしまいますので、重量を少なく調整すると良いでしょう)
画像:テニスワン
◆ラケットフェースの一番上(12時の方向)に貼る
少ない重量で振りぬきが良くなります。
ストロークを強化したい場合には、ここに貼ることで「トップヘビー」になります。
けれども、面のぶれが起きやすくなります。
また、ストリングスを張る時に邪魔になってしまいます。
画像:tennisneed
そのほかの位置としては
◆スロートに貼る(6時の方向)
バランスやスイングの重さをこれまでと変わらないようにして、フレームの全体的な質量を増やすことができます。
操作性は、やや悪くなりますが、打ち負ける感じは減少します。
◆グリップ近くに貼る(もしくは、元グリップの下)
フレームの先の方にテープを追加しても、以前と同じバランスを保ちたいのなら、そうした場合に同じ重量のテープをグリップの下に置く必要があります。
また、ラケットを「トップライト」にする目的で貼る場合は、重たくしすぎない限り操作性が上がります。
ボレーやレシーブのような速いラケット操作の必要がある時には、先が軽いことがメリットとなります。
元グリップの下に貼るとグリップ形状が変わってしまいますので、グリップエンドを外してバイブに貼りつけてから、グリップエンドを再び取りつけるようにする必要があります。
画像:丁稚のテニス雑記帳
全日本プレーヤーの場合
全日本プレーヤーの方がどのようにラケットに、チューニングをしているかについてインタビューしている動画がありました。
「鉛テープ」をどのような目的で、どこに貼っているかが語られています。
男子2名、女子2名プレイヤーが登場します。
その中で、女子選手は市販のラケットを自分のプレーに合わせたり、打ちたいボールのイメージがあればチューンナップした方が良いとコメントしています。
一般プレイヤーの場合
一般プレイヤーの場合は、同じラケットを何本も持っている方は少なく、1本だけという方も多いと思います。
それでも中には、同じラケットを複数本持っているプレイヤーもいらっしゃるでしょう。
そうした場合、同じラケットモデルでも同じウエイトを購入するのが難しいです。
(テニス専門店によっては、ある程度購入者の希望を聞いて重量を揃えてくれる場合もありますが…)
そうなったときにスイングウエイトを調整するために、鉛テープを貼るのもありです。
【使用ラケット】
Volk Organix 9 Super G 3本
重い順に315g、312g、309gのウエイト。
⇒これをチューニングしました。
ガット、オーバーグリップ、振動止めをラケットにとりつけたトータルでスイングウエイトを揃えるようにしています。
315g | 何も貼らない | →344ℊ |
312g | 3時-9時方向にトータル2gのウエイト追加 | →343g |
309g | 3時-9時方向にトータル3.5gのウエイト追加 | →341g |
どのラケットを使っても、同じ感じにそろえることできました!
☆もっと上手くなりたい、もっと試合に勝ちたいと思っているならば↓
貼る前の準備
さぁ、鉛テープを貼ろう!とした時に、しっかり貼りつかせるためには、その箇所にほこりや油分がついているのはNGです。
テープの粘着力が弱まってしまい、使っていて取れてしまうことがあります。
新品であっても、油断できません。
塗装面に何らかの溶剤などがついていることもあります。
汚れや油分を除去する効果のあるもので拭き取ってから、ラケットへ貼るようにしましょう。
(消毒用アルコールをコットンに湿らせるなど)
※鉛などの金属素材を触った作業終了後は、しっかり手を洗っておきましょう。
手を洗っていないまま、ご飯を食べるのは健康を害するおそれがあります。
揃えておくべき道具としては、はさみ、はかり、ペン、定規、鉛テープ、および通常のマーキングテープです。
貼り方
一度張ってしまうと、剥がす時にフレームの塗装が剥がれてしまうこともあります。
粘着テープの強さが強いので、どの位置がよいかを一度で上手く合わせることが難しいので、まずはセロテープで仮止めをしてから「鉛テープ」を貼りつける位置を検討しましょう。
できればボールを打ちながら、最適な位置を探していけると良いです。
「この位置で決まった!」となってから、しっかりと固定していくのをおススメします。
テープは、上下・左右・裏表 それぞれが対称になるように貼っていきます。
幅の1/4インチタイプのテープを使う場合、下の画像のようにストリングの両サイド側につけます。
幅1/2インチのテープは通常、ストリングのグロメットがテープから突き出ている状態で、ストリングを付ける作業中にストリンガーによって貼りつけられます。
どういう製品があるの?
◎キモニー
◆リードテープ
12mm×1m、30g入り鉛バランサー
好みの重さだけ切って使えます。
◆キモニー リードテープスリム(おススメ)
6mm×60cm×2本入り、18g入り鉛バランサー
幅が通常の製品よりも半分になっているので、フレームの内側に貼るときに便利です。
◆キモニー アルファプラス
3g×6枚入り
H型になっているため、ラケットフレーム内側に簡単に貼れます。
ラケットサイドに使う場合には向いています。
けれども、1個が3gもあるので微妙な調整がしづらいと思います。
◆キモニー パワープラス タングステン1.5
1.5g×4枚入り
こちらは、鉛ではなく「タングステン」を使用したバランサーです。
「タングステン」は、鉛よりも振動吸収がよいとされています。
より細かいバランス調整が可能です。
◆キモニー パワープラス タングステン2.5
2.5g×2枚入り
画像:キモニー
◎ヨネックス
◆パワーバランス3
3g×4本入り
画像:ヨネックス
◎バボラ
◆バランサーテープ
3g×3枚入り
「タングステン」を使用。
画像:バボラ
◎ウイルソン
◆タングステン チューニング テープ
2.5g×4枚
0.25g間隔の目盛りがついているため、0.25g単位で好きな重さに切って使用が可能です。
画像:ウイルソン
まとめ
ラケットがちょっと合っていないかも?と思った時に、買い替えを考えるかもしれません。
でも、もしかしたら「鉛テープ」を貼ることでその問題や悩みを解決できる可能性があります。
ラケットに「鉛テープ」を追加しても、それが気に入らない場合は、単にそれを取り除くことができます。
ラケットの様々な位置に移動して、重さも変えてみて、色々試して…。
最終的に自分にとって最適なパフォーマンスが発揮できる「マイラケット」を目指してみるのも楽しいと思います。
ラケットを新たに購入するよりも、ずっと安く数百円であなたの望みがかなうかもしれません。
とはいえ、なかなかラケットのバランスやスイングウェイトをカスタマイズするのは手間もかかって難しい作業です。
信頼できるコーチやテニス専門店に相談してみると良いでしょう。
やりすぎないように、最初は、少ない量からで調整して下さい。