テニス 「運動連鎖」を使うことでラクなのにパワフルなサーブが打てる?【動画有】
本当は力強いサーブを打ちたいのに自分の思ったようなサーブが打てないとあきらめてしまっている方に「運動連鎖」を使ったサーブについて、こちらの記事ではお伝えします。
自分のサーブとなったときに、速いサーブでサービスエースを取ってみたいですよね。
少なくとも、サーブで優位に立てるだけのサーブを打ちたいと思っている方が多いと思います。
ですが・・・サーブを打つ時に、力を入れて打っている割にスピードやパワーが出ない、筋力も背の高さもないので速いサーブが打てると思えない、などの悩みや悲しみを感じていませんか?
「運動連鎖」を使うことで、少ない力でも、体にあるもっとも力の強い部分で大きなパワーを生み出し、伸びのあるサーブが打てるようになります。
運動連鎖とは、身体のパーツが順番に動く事です。地面から力をもらい(踏ん張る、蹴る)下半身→上半身→腕の順番で動かして力を伝達していきます。こちらの記事で、「運動連鎖」を使ったサーブのコツをつかんでください。
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運動連鎖を使ったサーブとは
「運動連鎖」という言葉。
聞きなれない言葉でしょうか?
その前に、もう一つ知っておいていただきたい言葉として、「スポーツバイオメカニクス」があります。
スポーツバイオメカニクスは、生体力学、生物力学などと訳されます。
これは、スポーツ科学の中で、スポーツ場面における身体運動のメカニズム(動作や筋肉の働き方および力の発揮と技術の関係)について解明しようとする研究の一分野です。
「動き」を定量化、数値化し、身体を効率よく使うことで競技力向上やパフォーマンスの向上に、あるいは傷害予防にも役に立つ科学です。
そのスポーツバイオメカニクスの中で、投球や打撃など、末端のスピードを上げるための体の使い方を考える上で欠かせないものに「運動連鎖(キネティックチェーン)」と呼ばれるものがあります。
人体はいくつもの関節でできており、運動を始めると別々の関節がお互いに作用して動き始めます。
ある関節の運動が他の隣接する関節へ影響を及ぼすのが運動連鎖です。
テニスの場合は、足の蹴りから得られる力を腕の先まで伝えることで、腕をムチのように使うことができ、筋力に頼らなくても速いショットを打つことができます。
画像 S&Cコーチ 庄村康平のブログ
連なっている鎖は、第1リンクの足から最終的リンクの手まで伝達されていきます。
テニスのサーブの場合、下の画像のように地面を蹴ることで足はエネルギーを得て、このエネルギーを足から脚、胴、肩、上腕、そして最終的には手へと伝達します。
この運動連鎖が、ボールに強い力を伝えるための最も重要なものです。
ボールに最大の力を加えるために、たくみに複数の関節に力を伝えて連鎖させていくことが必要となります。
連鎖している身体の各部分の関節を順番にタイミングよく動かすことで、最適な身体の使い方、効率よい身体の使い方ができるようになります。
順番を意識して、連鎖がつながるように滑らかなショットを打つことを心がけましょう。
順番通りに行かなくなると、バランスが悪くなったりボールが飛ばなくなったりします。
テニスの上達には、運動連鎖を意識する能力、意識できる感性がとても大切です。
運動連鎖を意識したフォームで打てるようにトレーニングを行うようにしましょう。
もちろんショットを打つときに腕などの筋力を使うこともありますが、運動連鎖ができれば上体の筋力に頼ることなくスピードのあるサーブを打つことができます。
ボールを打つのにいきなり腕を振らず、運動連鎖を意識して効率よくボールに力を伝えていきましょう。
そして、パワーアップした速いサーブを生み出すためにはラケット速度を高めることが重要です。
これらの動きを身につけるためには、体幹部にある大きな筋肉を強化すること、そして全身の動きの調整力トレーニングを行うことが重要です。
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サーブ 上体のひねり戻し
運動連鎖を使った力強いサーブを打つために、ポイントとなる部位について順番に説明していきます。
まずは、「上体のひねり戻し」について。
トスを上げたあと、ひねっておいた両肩を打ちたい方向に対してひねり戻すことでボールにパワーが出ます。
ただし、ひねり過ぎてひねり戻しができなくなった場合はいい打点で打つことができなくなります。
必ず自分が打ちたい打点に対して、戻れるだけのひねり戻しを作ることが重要です。
また、トスを上げたときに体がひねれていなければ、ただの「手打ち」になってしまいます。上体のひねり戻しを意識して、どこまで体がひねられているかをチェックしましょう。
では、コートでボールを打って練習をしてみましょう。
《練習方法》
両足をコートのベースラインに対して平行にして立ちます。
そこから、上体をひねり戻したときコートの自分の打ちたい打点にラケットが来るようにする練習をしていきます。
始めに、自分の打ちたい「打点」を確認します。
次に、正面向きで、どこまで自分の体がひねられるかを確認しながら打ちます。
「ひねる」「打つ」を繰り返します。
必ず、体をひねったところから打つときには正面向きに戻せるように打つようにします。
ひねる | |
戻す | |
打つ | |
フォロースルー | |
正面向き |
「上体のひねり戻し」の動画は、こちらです。
下の動画内では、河合幸治校長がデモンストレーションしています。
「サーブ@運動連鎖 ①上体のひねり戻し」 Tennis Rise テニス・レッスン動画
股関節のタメ戻し
次に、股関節の部位について、確認していきます。
股関節のタメと骨盤の回転が上半身と下半身のパワーをリンクさせるポイントです。
股関節のタメと骨盤の回転がポイント
サーブを打つときに、皆さん「上体のひねり戻し」「足の蹴り伸ばし」は意識していると思います。
さらに「股関節のタメ戻し」を意識することでより全体的なバランスが取れて、パワーのあるサーブを打つことができるようになります。
《練習方法①》
股関節にしっかり重心が乗る状態=「タメ」という感覚をつかむようにします。
トスアップし、両手を上げたときに後ろ足に重心がかかっている状態を作る。
後ろ足に重心がかかって前足が浮いている位に重心に乗っていれば、その状態をキープすることができます。
それが後ろにかかりすぎであれば、軸がブレてしまいます。
また、前にかかりすぎであれば、前のめりになってしまいます。
後ろ足の股関節に、重心の真ん中があるようにタメを作ってください。
《練習方法②》
バランスがあまりよくない人、取りづらい人は前足を浮かないようにしての練習を紹介します。
最初は両足が地面に着いていても構いませんので、後ろ足の股関節に重心を感じてトスを上げられるようにしましょう。
股関節に重心を感じる(タメを作る)→関節を回しながら、伸ばす
「タメを作る」→「伸ばす」
これを意識しながら軽いトスアップでサーブを打ちましょう。
この動きを身につけて下から順番に力が伝わって上体が回っていくというパワーの伝達の順番を意識して、をれぞれの動きをつなげていけるように練習しましょう。
「股関節のタメ戻し」の動画は、こちらです。
下の動画内では、河合幸治校長がデモンストレーションしています。
「サーブ@運動連鎖 ②股関節のタメ戻し」 Tennis Rise テニス・レッスン動画
足の蹴り伸ばし
サーブにパワーを生み出すのは、腕の振りではなく「足の蹴り」です。
これまで説明をしてきた部位のすべてが重要ですが、サーブにパワーが足りないと思っている場合、足の蹴りの力を腕先まで伝えられるようになればパワーアップができます。
ただ、パワーは出せるのですが、全体のバランスが崩れてしまうとその時点でいいヒットになりません。
「上体のひねり戻し」と「股関節のタメ戻し」とともに体全体のバランスを取りながら行うことで、パワーをしっかり出せるようになります。
地面からの反発を感じながら、足の蹴りのパワーを生かしたサーブを打つように練習しましょう。
《練習方法》
足の蹴り戻しを使って、サーブを打つ練習です。
1.ベースラインの後ろに立って、両足をできるだけ「狭め」の足幅にして立ちます。
このときに、あまり足幅の間隔が広いと、それだけ足の蹴り上げがしにくくなります。
足幅が広すぎると蹴り上げがしにくい
2.真上に蹴りだすつもりで、体を持ち上げてみます。
真上に蹴りだす意識
3.体の向きを半身(はんみ)(横向きと正面向きの間)にして蹴り上げて、正面を向いた体の斜め前でボールをヒットしたときに一番パワーが出せます。
膝の曲げ伸ばしを使って打っていきます。
膝の曲げ伸ばし
ここで、注意したい点があります。
「あまり、膝を曲げる時間を長くしないこと」です。
長く待たない!
曲げた状態をキープしすぎると伸びられなくなってしまいますので、曲げた「反動」を使うようにします。
ゆっくり曲げてもいいのですが、最後の反動は速くするように意識していきましょう。
蹴りが上へ伝わっているかを確認しながら打ちましょう。
ポイント バランスを取りながらジャンプして、両足がしっかり浮くようにします。 (ここで、伸びきらないように。) その場で着地ができるようにします。
バランスを取る練習にもなります。 |
「足の蹴り戻し」の動画は、こちらです。
下の動画内でも、河合幸治校長がデモンストレーションしています。
「サーブ@運動連鎖 ③足の蹴りだし」Tennis Rise テニス・レッスン動画
全体のバランスをとって
これまで練習した上体のひねり戻し、股関節のタメ戻し、足の蹴り戻しといったそれぞれの部位の動きが順番通りに「全体のバランスをとって」動かされることで、サーブの運動連鎖がスムーズに行われます。
連鎖がうまくいかない場合はバランスが悪くなったり、ボールが飛ばないということが起きてきます。
運動連鎖を意識しながら、フォームをチェックしていきましょう。
フォームチェック(4段階) 1.トスを上げて、上体をひねっていく 2.股関節に重心を乗せていきながら、足にタメを作っていく 3.そのタメを反動で体を回しながら下から戻していって股関節を伸ばしていく 4.最後に上体が回ってラケットが振り抜けるようにしていく 連鎖が上手くいくとパワーを出せるようになるので、連続的にイメージをしてバランスを取りながら打つように心がけていきましょう。 |
(準備) | |
(トス) 上からひねって |
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下にタメて | |
(テイクバック) 下から戻して |
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(インパクト) 上に伸ばす |
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(フォロースルー) |
「全体のバランスをとって」の動画は、こちらです。
河合幸治校長がデモンストレーションしています。
「サーブ@運動連鎖 ④全体のバランスをとって」Tennis Rise テニス・レッスン動画
運動連鎖を使ったサーブで、もう一つ大切なのが肘から先の動きの「プロネーション」です。こちらの記事を参考にしてください。
まとめ
速いサーブを生み出すためにはラケットのスイング速度を高めることが必要であり、そのためには運動連鎖を使うことが重要です。
テニスにおける運動連鎖は、よく「鞭(ムチ)」のイメージであると言われます。
テニスのサーブも、単純に「腕の動き」+「足の動き」といったパワーではなく、体の動きが終わってから腕が振られるような順序の動きが連なることで、ムチのような動きとなり加速したサーブを打つことができます。
地味な基礎練習ですが、運動連鎖を使ってムチのような合理的な体の使い方ができるようにしましょう。