ラケットの先端を走らせる!サーブやスマッシュで大切なプロネーション【動画有】
ご自分のサーブやスマッシュをパワーアップしたいのならば、プロネーションを使えるようになりましょう。
こちらの記事では、テニスの技術を説明するときに使われる「プロネーション」という言葉について説明します。
「プロネーション」とはサーブやスマッシュ、フォアハンドストロークなどの動きの一部分の動作です。
プロネーションは、主に薄いグリップで握っている時に使い、ラケットのヘッドスピードをあげます。
プロネーションをうまく使えると、肩の上や後ろでもラケットの先端を走らせて、強いサーブやスマッシュを打つことも可能になります。
上手く使えると女性でも速いサーブ、スマッシュが打てるようになるので、この動作を使えることで、腕力を使わずにボールに威力を出すことがてきます。
☆テニスが上手くなりたいあなたにおすすめ↓
この記事の目次
プロネーションとは
スマッシュやフォアハンドストロークでも使う動きですが、この記事ではサーブのプロネーションについて説明します。
あなたは、腕全体で押したり、ただ当てに行ったり、羽子板打ちのサーブを打っていませんか?あなたが力強いサーブを打とうとしても威力が出ていないのは、プロネーションを使えていないからかもしれません。
プロネーションを使ったサーブは、手首だけを使った、いわゆる「手首のこね」で打つ動きとは違います。
ボール方向を向いたままラケット面が移動する羽子板打ち
速いサーブを打つためには、ラケットヘッドを鋭く返してボールを叩くことが必要ですが、そこでポイントとなるのがプロネーションです。
プロネーションとは前腕による「回内※」を言いますが、テニスの技術の説明で上腕の「内旋※」と併せてプロネーションと言うときもあります。
※「回内※」「内旋※」の説明については、こちら
用語集 関節の動き(屈曲・伸展・内転・外転・内旋・外旋・回内・回外)
サーブで威力のあるボールを打ちたいならば、ヘッドスピードを上げることが必要です。そのために必要なのが「薄い握りのグリップ」と「プロネーション」です。
プロネーションが使いやすいグリップとしては
バックハンドイースタン>コンチネンタル>イースタンになります。
バックハンドイースタン、コンチネンタルは非常にラケットヘッドが返りやすくヘッドスピードが上がり、球スピード、回転力を上げやすくなります。
サーブを打つためのグリップとしては、「コンチネンタルグリップ」で握ってみることから始めて。
しっかり当たって打てているか、もっと回転をかけたいかによって、もう少し薄い握りの「バックハンドイースタン」やもう少し厚い握りの「イースタン」で握って打ってみるようにして下さい。
サーブに威力を出したいならば コンチネンタルグリップ+プロネーション |
コンチネンタルグリップの説明については、こちら
コンチネンタルグリップの握り方については、こちら
サーブの基本的なポイントについては、こちら
こんなに楽にサーブって打てるんだ!サーブを身につけるには…>>> 少ない時間でも上達するテニスの磨き方はこちら
運動連鎖で起きるプロネーション
テニスの動きは、体の軸を中心に回転する動作から力を生んでいます。
その力が他の体のパーツへと伝わってラケットを動かしています。
ストロークでは体の軸を立てて、サーブでは体の軸を斜めにして、体を回転させることで腕が前に振られます。
サーブの場合は、スイングをすると勝手に腕とラケットがついていって、ラケットヘッドが返って振り終わります。
こうした動きを運動連鎖(Kinematic Chain)といいます。
ストロークもサーブも運動連鎖の動きで体を回転させる
″運動連鎖をわかりやすくいえば、一部の関節を動かすとそれに続いて隣接する関節も動き、様々な場所に連鎖が起こることです。“
画像 引用箇所文章 一寸先は痛み!理学療法士が作る痛みと原因の説明書!
サーブのときに運動連鎖が行われていれば、脚部からの力が伝わっていって腕でプロネーションの動きが行われています。
ラケットダウンをしたところから、肘と手首の角度を一定に保って、膝の曲げ伸ばしからのスイング動作をすると勝手に腕とラケットがついていって、ラケットヘッドが親指側に返って振り終わります。
腕の力や動きで、プロネーションをするわけではありません。体全体を使った運動連鎖の最後にプロネーションが結果として起きます。
ただ自然に起きると言っても、条件をクリアしていないとプロネーションの状態にはなりません。
(プロネーションが起きる条件)
①コンチネンタルグリップで脱力してラケットを握る ②肘や手首の位置を動かさない意識で、体の軸を回転させ、肩が回ると遅れてラケットがしなって振られてくる。 ③ボールを打った後に腕を止めることで、遠心力でラケットヘッドが走って自然に振られていく。 |
コンチネンタルグリップであることでラケットの動きを加速できますので、自分が厚い握りとなっていないかを確認してみて下さい。
また、腕に力みがあるときれいにラケットが返ってきません。自然に振れていないようでしたらスマッシュからプロネーションの動きを練習するのもおススメです。
☆テニスが上手くなりたいあなたにおすすめ↓
これでスマッシュを決めることができる!>>> 少ない時間でも上達するテニスの磨き方
プロネーションは2つの動作から
条件をクリアすればプロネーションは自然にできるとはいえ、サーブのスイングの中でどういった動きが起こっているのかを頭で理解することは、大人になってからテニスを始めた人やこれまでプロネーションの動きをしていない人には必要です。
サーブのスイングは、「内旋」と「回内」という2つの動作がミックスされたものです。
内旋
「内旋」は、肘を直角にして、肩を前に回す肩関節の動きです。
肘の先が回転します。
内旋の動き 正面から
内旋の動き 横から
回内
「回内」は、肘を外にひねる動きです。
腕を伸ばした状態でひねってしまう方がいらっしゃいますが、このようにすると肩も外に向いてしまうので、自分が狙ったところよりもサーブの打球方向が右へ行ってしまいます。
肘も痛めてしまいます。肘の先を外へ返すようにしましょう。
団扇(うちわ)で自分の顔をあおぐようなイメージです。団扇をあおぐ時と同様に、手首を伸ばさないので、そこを気をつけてください。
グリップの握り方について知りたい方は、こちら
練習方法
それでは、段階を追って動きを練習していきましょう。
ボール突き
①コンチネンタルグリップで短くラケットを持って、肩の高さに水平にラケットを用意してでボールを下へ突きます。自分の顔の高さ位でボールを捉えるようにして、肩を上下させる動きでボール突きをして下さい。
肩の高さでセットしてボール突き
ポイントは、肩をしっかり動かしてボールを押さえることです。 |
これを意識して練習するようにしましょう。
②次は、腰の高さに水平にボールをセットして、肘先の動きでボールを突くようにしましょう。
腰でセットしてボール突き
この練習が肘先のひねりの練習となります。 |
プロネーションを意識して
上の2種類のボール突きをしたら、今度はそれを上方向で使ってサーブの練習をしましょう。
①まずは、2つの動きをしてみる
最初からトスアップして大きな動作でやろうとするとこれまでの癖が出てしまいやすいのと、トスアップによって動きが複雑になってしまうので、ラケットを頭の上にかついでテイクバックのセットをしたところから始めます。
肘と肩の動きを意識して、練習しましょう。
テイクバックした状態から
肘→肩と前へ出していく
インパクトの時にラケット面がボールにまっすぐ向いた状態にする
少し外へ向かって肘を返す
②通常のサーブの形で
感覚がわかるようになったら、テイクバックを後ろからして一連の動きをしてみましょう。
そこでわからなくなったら、セットした状態から。まっすぐボールにラケット面が当たるようにしてインパクトのところで肩の動きまでで止める。
わかってきたら、肘先を返すという繰り返しをしていくことで、プロネーションの動きを自分のものとして染み込ませていくことができます。
こちらに河合校長の練習方法の解説、動画があります。
プロネーションの動きが身についたら、運動連鎖の中で、脱力して柔らかく腕を使って、インパクト後のラケットと腕がしなって振り切れるように練習しましょう。
プロネーションを促すサポーター
ここまで紹介してきた練習方法をやっていけば、プロネーションの動きはあなたのものとなっているはずです。
しかし、なかなか脱力してサーブの動きができないという方に、秘密兵器?とも言える製品を紹介します。
プリンスの「プロネーションアームスリーブ」です。
ツイストテーピング理論を用いた新発想の「回旋促進サポーター」ということで、腕本来の自然なプロネーションの動きを促します。
医療用品メーカーで、サポーターのトップメーカーであるダイヤ工業とprinceのコラボレーション。「痛みを軽減しながらも運動時のパフォーマンスを重視」するコンセプトで共同企画開発された「プレーする人のためのサポーター」です。
画像 文章 プリンス
この「プロネーションアームスリーブ」は、メーカーの「痛みを軽減しながら」という説明にもあるように、肘を痛めているプレーヤーにも向いている製品です。
着用方法がちょっと面倒ですが、回内、回外させたい側に捻りながら装着することで、プロネーションをやりやすくします。
|
まとめ
サーブやスマッシュといった上から打つ動きのショットで大切なプロネーションの動きについて説明しました。
プロネーションを運動連鎖の動きの中で自然と使えているようにしていくことで、力に頼らなくとも回転がかかったり、スピードが出たりするようになります。
サーブは1人でもできる練習ですので、自信の持てるショットとなるようように練習する時間や機会を作るようにしましょう。