ダブルスの陣形 雁行陣の特徴と動き方のコツ【動画有】
テニスのダブルスの戦術の「雁行陣(がんこうじん)」について、特徴やメリット、デメリット、どのような動き方、ポジションを取るか、どこにボールを打つかなどを紹介します。
これらを知っていることで自陣のスキがなくなり、ポイントを取れる確率が上がります。
雁行陣のセオリーを知って、有利に試合を運びましょう。
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雁行陣の特徴
テニスのダブルスでペアのうち1人が前衛で1人が後衛という形の「雁行陣」と、
2人が横に並行に並んで戦う陣形の「並行陣」が一般的です。
コート1面を2人で守ってカバーしあい、相手へプレッシャーをかけて攻めていくために生まれたのが
陣形(フォーメーション)です。
自分たちのペアがどのような目的で、その陣形を取るかを考えてプレーするようになるだけでも勝利の確率がアップします。
ダブルスの陣形は、2人を生かす陣形で
ダブルスの他の陣形については、こちらをどうぞ
ダブルスの基本的な陣形の雁行陣は、下の画像のような立ち位置(ポジション)を各プレイヤーが取ります。
雁行陣のポジション
この雁行陣は、どのようなプレイヤーが取っているのでしょうか?
・テニスを始めてまもない初心者や初級者レベルの方
・上級者(ベースラインからも打ち込める力がある)レベルの方
上の2つのレベルの人たちが雁行陣を取っているのを多く見受けます。
なぜ、その方たちが雁行陣を取っているかの理由を、雁行陣の特徴やメリット、デメリットを解説するなかでお伝えしていきます。
メリット
攻守の分担が明確
雁行陣は、ペアの2人の攻守の役割分担が明確です。
メリット①攻守の役割がはっきり
後衛はベースライン付近に、前衛はネット近くにいる形です。
ペアの下がっている人(後衛)が「守り」、上がっている人(前衛)が「攻撃」です。
自分のやらなければいけない役割をしっかり頭に思い描きやすく、それを実行しやすいというのがメリットです。
自分たちの時間を確保しやすい
雁行陣の場合、ベースラインに下がっているプレイヤーは、相手から遠いところにポジションを取っています。
そのため、時間的な余裕ができて自分たちの時間を確保しやすいとうのがメリットの2つめです。
メリット②自分たちの時間を確保しやすい
それに対して、並行陣のサービスライン辺りにポジションを取った場合は、
相手に近づくことで相手に対する時間を奪うプレーができるのですが、
反面自分たちの時間もないので素早い反応や素早い動きが必要です。
ある程度のテニスの経験や技術の習得がなされていないと並行陣を取るのは難しいので、
初心者や初級クラスの人は下がって雁行陣を取っておくほうがプレーしやすいと
いうのが雁行陣を取る理由になっています。
下の画像では、上側の黒いウエアのペアが雁行陣を取っています。
相手から遠い位置にいるので時間的な余裕がある
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デメリット
攻撃が難しい面がある
ベースラインからボールを打つことで守りの時には時間的な余裕が生まれるのですが、
その反面、自分が攻撃をしたい場面となるとベースラインからでも相手に対して打ち抜く力
をもっていないと攻撃を仕掛けることが難しくなります。
それが雁行陣のデメリットです。
デメリット 人によっては攻撃が難しい
(初心者、初級者の場合)
初心者、初級者の場合は、ストロークで強い球や速い球を打つということが身についていない人も多いと思います。
そうした場合は、まずは、相手コートに返すということが一番の目的になります。
ベースラインからボールを打つと打ってから到達するまでの時間の余裕がある分、
相手へ時間的なプレッシャーをかけることが難しくなります。
初心者、初級者の場合、後衛となったプレーヤーは相手に攻撃されないように
ボールをしっかり返して、前衛は攻撃に徹するという役割を明確に分けてプレーをする必要があります。
(上級者、ストロークに自信のある方)
最近は、技術やラケットの進化によって、ボレーでの攻撃よりもベースラインから打ち込んで
いった方が有利に展開を作れるようなケースも出てきています。
上級者で、ストロークに自信のある人であれば、ベースラインの位置からでも相手コートに対して
非常に威力のあるボールを打っていくのも良いでしょう。
メリット③ストロークに自信があれば後ろからでも攻撃ができる
そうなると自分たちの時間も確保しながら、ベースラインからでも相手に対してプレッシャーを
かけることができていますので、守りながらも攻めもできる陣形になってきます。
それが、上級者が雁行陣を取る理由の一つとなっています。
(中級者の場合)
中級位までの人だと、まだそれほどベースラインから打ち込めない方が多いので、
そうした場合は前へ詰めて並行陣で相手にプレッシャーをかけていく陣形を取ることを
メインにした方が良いでしょう。
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送球コース、動き方、視線について
次に、雁行陣の送球コース、動き方について説明します。
■送球コース
(後衛の場合)
前衛が攻撃、後衛が守りと説明しましたが、後衛の狙うべきコースはどこでしょうか?
後衛は、相手の前衛に取られないように配球するのが大前提です。
後衛は、相手コートのクロスが空いているので、そこを中心に打っていきます。
ストレートもありですが、安易にストレートへ打っていくと相手のボレーヤーにつかまって相手の攻撃をうけてしまうというところがデメリットになってしまいます。
デメリット ストレートに打つことで逆襲されてしまう
ストレートへ打っても良いのですが、リスクがあることを理解してプレーをしなければなりません。
ストレートは、相手前衛につかまりやすい
(前衛の場合)
ネット近くの前衛は、ボールを打つチャンスが来た時に、どこを狙いますか?
前衛が打つ時は、相手コートの真ん中へ送球します。
相手コートの空いている場所は、相手コートの「中心(センター)」です。
センターは、相手の前衛から遠いところを通って、相手の後衛に対してボールが逃げていくような軌道で
ボールを打つことができますので、ボレーヤーはまずはセンターを狙うのがセオリーです。
前衛は「センターセオリー」
「ワイド」を狙うというのもありますが、ワイドを狙ってしまうと、サイドラインが近いので
サイドアウトのミスをしてしまうという危険性があります。
(ワイドへいきなり打つのは注意!)
前衛が攻撃をするチャンスでミスをしてしまうと、自分たちが点を取るせっかくのチャンスをつぶして
しまいますので、確実に点を取れる安全なコースを狙っていく必要があります。
相手のストローカーがセンターのカバーに入ったのが見えて、ワイドが空いたところに打つというのならOKです。
けれども、特にオープンコートがないのにいきなりワイドへ打ってしまうと、狭いところ、相手の取りやすいところ、
サイドアウトしやすいところへいきなり狙ってしまうことになり、ミスが増えてしまいますので気をつけてください。
前衛の送球コース ・ワイドは、いきなり狙うとミスしてしまう危険あり。 ・相手コートにオープンコートができてから狙う。 |
■動き方
(前衛の場合① シチュエーションに応じて)
後ろにいるプレイヤーは、ある程度の時間の余裕がありますが、前衛は相手のプレイヤーの近くに立って相手に対して
攻撃をしていく役割があるため、逆に自分が時間のない状況で狙われてしまうこともあります。
常に攻撃をしていけるわけではないことをしっかり頭に入れておいてください。
初心者や初級者で見られるのが、サービスボックスの中心付近にず~~っと立ってしまったままの方です。
この位置は、相手からのボールに対してのボレーはしやすいですが、相手から攻撃を受けた時には、
相手からの距離が非常に近いので、相手の攻撃をしのぐことが難しくなります。
相手からボレーをされそうな時は、少しポジションを下げることが必要です。
状況に応じて、前衛は位置を変える
前衛のポジション① ・攻撃的な状況では、攻撃的なポジションを取る ・守らなければいけない状況では、やや守備的なポジションを取る |
(前衛の場合② ストロークに応じて)
ベースラインのプレイヤーは、時間を確保するためにクロスラリーを中心に打ち合うことが多いのですが、
ボールの行方によってボレーヤーは少し前後に動く必要があります。
例えば、味方のAがクロスにボールを打って相手のCがそのボールを返球する時は、
Cの正面にいるBは、自分たちのコートのサービスボックスの中心付近の少し前に詰めた状態となります。
そして、Cの打ったボールに対して、Bはボレーを狙っていく体勢を取る必要があります。
逆に考えて、CのペアのDはBがボレーを狙ってきているので、ちょっと下がりぎみのポジション
を取る必要があります。
少しセンター気味に下がっておくというのを忘れずに行うようにしてください。
なせならば、Bのボレーヤーがボレーを狙うコースはセンターがセオリーだからです。
センターに寄らずに、まっすぐ下がってしまいますと、センターが広くなってしまいます。
「センターを締める」意識を持っていれば、相手からセンターを狙われた時にしっかりカバーができます。
また、後ろへ引くことで相手との距離を少しでも離せて、時間的な余裕をつくることができるようになります。
さらにラリーが続いて、Cが上手くクロスへストロークを打った場合はDの人はどうしたらいいでしょう?
次に、ボールを打つのはAです。
その場合、下がっていたDは、ボレーのチャンスなのでセンター付近にポジションを上げてきて
、代わりにBがDからのボレーを警戒して,ややセンター寄りに下がり、Dからのボレーをしのぎやすくします。
攻守によって、前衛の位置をその都度変える
前衛は、攻める役割がメインですが、常に攻める体勢を取れるわけではありません。
攻める状況が来たら攻める、相手が攻めてくる時はやや守る体勢を取るようにしなければなりません。
前衛は前に詰めたり、センター寄りの斜め後ろに下がったりという動きをすることで状況に対応できますので、
前衛はボールの位置や相手の状況に応じて必ず動きを入れることを忘れないようにしましょう。
前衛のポジション② ・ストロークの状況に応じて、前に詰めたり、センター寄りに下がったりの動きを入れる
|
2017年の全豪オープンの加藤、穂積ペア対マティック・サンズ、サファロバ選手の女子ダブルスの動画です。
前衛の動きに注目して見てください。
Hozumi/Kato v Mattek-Sands/Safarova match highlights (SF) | Australian Open
■視線
「動き方」とともに、大切なのが「視線」です。
ポジションの変化と一緒に視線方向の切り替えもぜひやってください。
特に、ボレーヤーの視線の方向は重要です。
視線の向け方も重要
前衛の視線の向け方について説明すると、Cがストロークを打つ時にBは少しネットに詰めて
ボレーをする体勢を取りますので、Cのボールをよく見ておく必要があります。
Dは、Bがボレーをしてくるのをしのぐ必要がありますので、見る方向としては斜めのBをよく見ておくようにします。
守る側となったら、ボレーヤーの動きを見る
Bがボレーの構えをした時はDは守らなければいけない状況にあります。
DはBのボレーヤーを見ておけば、ボレーされる、ボレーされないというのがわかります。
もし違うところを見てしまうとボレーに対する対応が遅れてしまいます。
おさらいですが、CからのストロークがAへ行った時は、Dは前へと移動してAのストローカーを見る。
Bは、斜め後ろに下がって、Dのボレーヤーを見るようにします。
ボレーヤー、ストローカーを交互に見る
視線の向け方 ・ボレーをするチャンスの時は相手のストローカーを見る。 ・味方がストロークをする時は相手ボレーヤーを見る。 交互に視線の切り替えをすることで攻めと守りの切り替えが上手くできるようになります。 |
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まとめ
ダブルスの雁行陣の基本についてお伝えしました。
お伝えした雁行陣の特徴、メリット、デメリットを理解して、自分たちのペアが当てはまっているのかを考えてみて下さい。
雁行陣を選んだからといって常にその陣形で戦えるわけではありませんが、どのようなポジションをとって、どこへボールを送り、どう動くか、どこに視線を向けるべきかを知っておくことで相手に決められるポイントが少なくなり、勝てるチャンスはこれまでより高まるはずです。
練習時に、ポジショニングや動き方のポイントを意識しながら取り入れていってみてください。
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