ベテランテニスプレイヤーが脚力の衰えを克服するための3つのポイント【動画有】
テニスもベテラン年齢となると、どうしても若い時と比べて「脚力の低下」が否めない…
若い時と比べて、脚力が落ちたことでどうしてもプレーの質が変わってきます。
それをどうやって克服して勝てるようになるかについて、トレーニング不要の3つのポイントをご紹介します。
40歳からの脚力低下
体を動かすための筋肉「骨格筋」。
一般的には筋肉と呼ばれていて、骨格に沿って付いている筋肉のことで、その収縮によって身体を支え動かしています。
市販の体重体組成計でだいたいの骨格筋率を測ることができるので、自分の数値を把握している方もいらっしゃることでしょう。
骨格筋率は、体重に占める骨格筋の割合のことです。
男性では33%~36%、女性では26%~28%が標準であるといわれています。
また、「年をとったら筋力が急に落ちた」という話をよく聞きますが、
加齢に伴い筋肉量は40歳くらいから低下します。
下肢の筋肉量については、上肢と比べて加齢に伴う低下率が3倍高いといわれています。
とはいえ、運動機能は個人差が大きく、性別や日常活動の程度などによって、
低下する程度や低下する速度には、大きな違いが出てきます。
日頃からテニスを継続的にやっているベテランプレイヤーの皆さんであっても
(筋力や筋持久力だけではなく、平衡感覚、柔軟性、反射神経など)
といった運動機能の低下を少なからず感じているかもしれません。
では、どうしたらこの状況でもテニスを楽しく続けていくか?
それには、落ちてきた脚力を苦にせずにプレーできる秘訣があります。
予測力を上げる
ポイントの1つ目は、「予測力を上げること」です。
テニスのゲームは、どの年齢の方であっても1つ1つのショットへの
反応と予測で成り立っています。
反応の力である脚力が鈍ってくるので、その分予測力をどんどん上げていくという意識が
必要になってきます。
では、どのようにして予測力を上げるかというと
1つは、相手のクセを見抜く力が必要になります。
相手のクセを見抜くには、相手のフォームからと相手のパターンの観察から。
- どういう場面でどういうフォームをどれだけしたら、こっちに打ってきやすい
- パターン的にこういう風な場面の場合はこちら側に来やすい
ということを意識しながらプレーをすることが必要です。
若い時は、反応でカバーできていた部分が大きかったと思うのですが
ベテランとなると予測力を上げないと間に合わなくなることが増えてきてしまいます。
となると、反応の遅れをカバーするためにも予測をもとに自分のプレーをしていくことに
フォーカスをしてみてください。
もう一つは、自分の打ったボールが相手にとって
どれだけ効果が見られるのかを「見定める」ことです。
相手がどういう球を打つのか、
自分がどう打ったら、相手から限定的な球が来るのか
を事前に考える力が必要になります。
プレーをただするだけでなく、予測力を高めるためのポイントを意識して
学んでいくことによって、自分が今まで届かなかった部分を
そういうところでカバーしていくことが重要になりますので、そこを意識しましょう。
予測力を高めるためについては、こちらの記事をどうぞ
少し前のポジションでプレーをする
ベテランプレイヤーにおススメしたいポイントの2つ目は、
「ポジションを少し前に取る」です。
低下してきた脚力となったプレイヤーが思うこと。
- 『速く、長く』は動きたくない!
- 横はともかく、前後は動きたくない!
では、ないでしょうか?
これまでの取っていたポジションであれば、
- 後ろにいすぎてしまうと前が空いてしまう
- 逆にボレーでもネットに詰めすぎてしまうと後ろが空く
ゲーム中のポジションについて、よく昔から
「デッドゾーンにいないほうがいい」と言われています。
ボレーするには遠いし、ストロークするには前過ぎるので
テニススクールなどで、その場所にいると怒られてしまうはずです。
ところが、実際にはベテランプレイヤーであれば、皆さん必然的に
前後をしっかり守れる場所=デッドゾーンに入るということが習慣になっているわけですね。
それは自分が前でボール処理をする中で、自然に生まれているものです。
デッドゾーンとは、ベースラインとサービスラインの間。
前に落とされる、または頭上をロブで抜かれる、この両方をケアできるのは
「デッドゾーン」しかないのです。
技量や脚力によっても、デッドゾーンの大きさは変わってきますが、
一般的には下の画像で囲んでいる部分がデッドゾーンです。
ベテランになるとプレーの転換をしていくことが重要です。
後ろに下がってしっかり打つ
↓
前でできるだけ捌くことにプレー
そうしたプレーを練習の中で取り入れてみてください。
デッドゾーンの例として、
1.少し山なりの深いボールが来た時
ワンバウンドさせずに、ボレーでカットしてノーバウンドで処理する
2.前に詰めてボレーをする時
ネットにあまり詰めすぎずにサービスライン付近でコントロールを重視して
長くボレーをしたり、短くボレーをしたりしながらロブを常にケアをする
といったポジショニングの使い分けしていくことが大切です。
「速く強く打つ」から、「前で捌いて自分の動きをできるだけ少なくする」
へと意識を転換させていくようにしましょう。
「浅い」「短い」球への対処方法については、こちらをどうぞ
デッドゾーンで必要な技術といえば、ライジングショットです。打ち方については、こちらをどうぞ.
嫌がるところへ打つ
今まではボールを強く速く打つということに練習のポイントを置いてる方が多かったと思います。
脚力の低下によって、これまでのようなプレーはしづらくなってきていると思います。
- 足の力を使ってボールにパワーを出す
- 早くボールに追いついて、タメを作る
そこで、意識の転換としては
ボールのパワーを求めていく
↓
相手の嫌がるところにプレースメント(コントロール)をする
相手としては、エースを決められるよりも、精神的には
自分がミスをすることのほうがダメージが大きいようです。
打ち抜かれたら、「しょうがない」と思えますが
打たされて自分がミスをすることの方がダメージが大きいのです。
そのダメージが試合で積み重なって、ジワジワと効いていきます。
自分が打ち抜くことの気持ちよさを追求したくなると思いますが、
相手にミスをさせる意地悪い気持ちよさへの転換を意識していってください。
これまで、相手を追い込む展開についてどのように考えていましたか?
あなたのこれまでのゲーム展開が速いボールで追い込むであったならば、
どうしたらボールを遅くしても相手を追い込めるか?
どういうボールを配給して、どういう体勢にさせれば相手がミスをしやすくなるのか?
を考えてみてください。
スピードがあれば多少コントロールが甘くても相手がミスをしてくれる展開となると思いますが
それよりもスピードを落として、自分に余裕がある中でコントロールを正確にしていく
ことに重きをおいていくことが必要になります。
ボールを少し遅くすることで、自分に余裕を持たせるというのは…
たとえば、走らされてボールに追いついた後に、戻る時間も作れるわけなので
その分、ボールをコントロールして打つことができます。
また、「予測力」の点からも
相手から、どういう風にボールが返って来やすいかも判断しやすくなります。
「ボールを速く打つ」というのは、年を重ねていくとどうしても低下します。
逆に、パターンとか、ボールをコントロールするといった
テクニックの部分は歳を重ねれば重ねるほど向上していきます。
その向上していく部分をしっかり伸ばしていくことが
これからベテランの方が長く、強くプレーをするためには必要です。
そうしたところにフォーカスを置いて、やることを決めて練習していってください。
テニスの学校 河合校長の動画はこちらです。
「ベテランプレーヤー必見!脚力の衰えをプレーで克服するための3つのポイント」
まとめ
ベテラン年齢となったテニスプレイヤーの皆さんが、脚力が落ちたと感じても、テニスを楽しんでいくための脚力衰えをカバーする3つのポイントをご紹介しました。
- 予測力を上げることで、自分のプレーを有利にしていく
- 少し前にポジションを取って、前後の動きを少なくする
- 相手の嫌がるところに配球し、ミスを誘う
まだ脚力に自信があるという方も、プレーの幅を広げる意味でもワンポイントからゲームの中で使ってみてはいかがでしょうか?
速いテニスから遅くてもポイントの取れるテニスへ、考え方を転換することでこれからもゲームに勝つことができます。