テニス スピンサーブの打ち方のコツと練習方法【動画有】
硬式テニスで、しっかり高く跳ねる「スピンサーブ」。
上級者や筋力のある男性ならではのサーブと思って、中級者や女性は習得を諦めてしまいがちなサーブです。
けれども、実は打ち方を理解してコツをつかめば、どなたでも楽に打てるようになるショットです。
回転を掛けたスピンサーブを打てるようになれば、サービスの確率が高くなりますし、強力な武器となってくれることでしょう。
段階的な練習方法もご紹介しますので、サービスゲームを優位に進められるスピンサーブをモノにしてみませんか?
こんなに楽にサーブって打てるんだ!サーブを身につけるには…>>> 少ない時間でも上達するテニスの磨き方はこちら
この記事の目次
スピンサーブとは
縦の回転を掛ける「スピンサーブ」。
スピンサーブは、山なりの放物線の軌道を描き、順回転がかかっているので、サービスボックスに入りやすくなります。
プロの試合を見ていても、セカンドサーブではスピンサーブを打つことが多いです。
セカンドサーブが安定することで、ファーストサーブを打ち込んで、チャレンジしていくことができます。
つまり、自分のサービスゲームを優位に進めることができるというわけです。
しかも、スピン回転をしっかり掛けることができれば、相手に高い打点で打たせることとなるので、相手に攻撃をされづらくなります。
相手のバック側に高く弾ませることで、相手が強く打てない状態にさせることを狙って打ちます。
ですが、上手く跳ねさせることができないとリターンで打ち込まれるリスクがあります。
しっかり高く弾む打ち込まれないサーブを打てるようにスピンをかけれるようになりましょう。
下の画像は、ホークアイの画像ですが、とスピンサーブとスライスサーブの軌道を比べてみてください。
ボールは、ネットの高い位置を通って着弾後、高く跳ねていきます。
画像:Mail Online
スピンサーブの打ち方
打ち方のコツ
縦の回転をかけるスピンサーブ。
スイングの方向と体の使い方、体の向きを意識して練習していきましょう。
まずは、下の動画でイメージをつかんで。
①グリップ
グリップの基本は、薄いグリップ(コンチネンタル、バックハンドイースタン)です。
ボールに回転をかけるためには、手首のプロネーションが使える薄いグリップにすることです。
厚いグリップになると、プロネーションが使えずに、打点時に面が上向きになってしまうためです。
コンチネンタルグリップについては、こちらをどうぞ
②トスの位置
トスの位置は、前に上げてしまうとボールの上を叩くようになってしまいます。
すると、ボールは下方向に飛んでいってしまいます。
スピンサーブは、打点よりも上に向かって打たないといけないので、自分の頭の上位にトスを上げるようにしましょう。
上級者はトス位置を大きく変えずにサーブの球種を打ち分けることができますが、スピンサーブの取得を目指すうちはトスをはっきりと変えて、頭の真上位で打つ練習をして、スピン回転をかける感覚に慣れるようにしましょう。
②スイング方向
ボールを上方向に打ち出して、放物線を描いた頂点の高さが高いほど、バウンド後のボールは高く弾みます。
ですから、速くスイングすることや、回転量を多くすることよりも、まずは上方向に向かってボールを打っていくことを目標に練習していきましょう。
ベースラインに沿って体を横向きにして、トスアップしたらラケットヘッドが背中の後ろで地面方向に向きます。
そこから一気に、頭の後ろから外側の上方向に向かってラケットを振り上げます。
ラケット面でボールの下側を触るようにすることで上方へボールは飛びやすくなります。
ラケット面にボールを転がす感覚が重要です。
回転をかける感覚は、ゆっくりスイングしたほうがわかりやすいはずです。
腕を伸ばしていって、ボールの下を捕らえるようなイメージで当たると厚い当たりになります。
打点は、あまり高いところで捉えてしまうとラケットを上に振り上げることができなくなりますので、腕を振り上げる余裕のある状態(多少、腕が曲がっている位置)でボールを捉えるようにしてください。
トスアップしたボールが頂点から少し落ちてくるタイミングで上に振り上げて打っていくようにしましょう。
意識したいのは、内側のフレームのエッジです。
親指を内側から外側に返すように動かし、内側のフレームエッジを引き起こす動きによって、打球時にはラケット面が外側を向きます。
注意
スピンサーブは、スライスサーブやフラットサーブと違って、目標方向に向かって前方向へは振りません。
一方、スピンサーブは、目標方向に振り出すのではなく、ベースラインに沿って左から右にスイングすることで、目標方向に飛ばす打ち方になります。
外側のフレームエッジが前に出過ぎてしまうと、ボールに回転だけ掛かって、前へは飛ばなくなってしまいます。
③体の使い方
スピンサーブというと、打点に対して体を反らして打つイメージを持っている方もいらっしゃると思います。
「腰や背中を痛めた…」という話も聞きますが、そのように反らす必要はありません。
大きく山なりの軌道とするためには、ボールが上に向かう上に推進力を意識して、ラケットを上に振ります。
上に振りながら、外側に向かってボールを振り払うイメージで、ラケット面を外側に向けるようにスイングします。
打点としては、あまり前にしてしまうと上に打ちづらくなりますので、頭の真上を基本にします。
もしくは、もう少し後ろでもOKです。前後の調整は、打ちやすいところを探してみて下さい。
体の横向きをキープしたままで、あまり体を回さないようにスイングをしたいので、そのための練習方法をご紹介します。
練習方法1 片膝立ちからスタート
ベースラインからサーブを打って練習をします。
といっても、体を横向きにしたまま打てるようにを目標としているので、片膝を地面に着いた状態で打っていただきます。
体を回せない状態を作ることで、“体を回さない”意識をしながら練習をしていくわけです。
というのも、スピンサーブが打てないと悩んでいる方は、打つ前に体が開いてしまって横向きを作れないということが多いからです。
〈第1段階〉
前側の左膝を立てて、後側の右膝を地面につけた状態でラケットを頭の後ろに担ぐ。
ボールをラケット面につけた状態から、「横向き」をキープしてラケットを上に振り上げる。
〈第2段階〉
第1段階のスイングが慣れてきたら、その格好のまま、トスを上げて外側の上に向かってスイングをしてみましょう。
地面についた膝が痛いという方は、タオルなどを敷いて練習するといいでしょう。
〈第3段階〉
今度は、立った状態で練習をします。
通常のサーブと同じように、トスアップをしてからスイングしていきます。
この時もトスアップして、打つ時まで横向きをキープすることを意識して。
スイングとボールの軌道が安定してくるまでが、山なりの軌道のイメージで、スピンを掛けて打つ感覚に集中して打っていくようにしましょう。
下の動画で、河合校長がスピンサーブ練習方法を解説しています。
スピンサーブを理解するための練習方法と打ち方のコツ。Tennis Rise テニス・レッスン動画
練習方法2 スピンの感覚をつかむ練習器具
自分で練習をしていても、今ひとつスピンをかける感覚がつかめないという方には秘密兵器?「スピンサーブマスター」をご紹介します。
手首とラケットの角度を固定する練習器具です。
固定されていることで、「こちら側に動かして打てばスピンがかかるんだ!」と内側フレームから振り上げる感覚が身につきます。
練習方法はいたってシンプル。一回3分間、装着して打つだけです。
価格:2,667円 |
スピンサーブを使った戦術
スピンサーブでよく使われるのが、アドサイドからワイドへ狙う戦術です。
相手を外に追い出すことができるので、オープンコートを広く作ることはできます。
ワイドへ狙う際は、深めよりも浅めがおススメです。
浅く入れることでサーブに角度がつくので、相手をより外へ追い出せます。
また、デュースサイドでは、センターを狙う戦術も効果的です。
センターに深く入れれば、相手を後ろに下げてゲームを展開できます。
相手が返球しづらいバックハンドの高い打点で捕らせるように、山なり弾道のサーブを打って、バウンドを高く弾ませるようにしましょう。
スピンサーブを習得したら、よりサーブを活かすために“配球”についても考えてみませんか?
詳しくは、こちらをどうぞ
スピンサーブを進化させる
勢いよく跳ねるサーブ
スピンサーブの型ができた方で、もっとスピンサーブの威力を増した勢いよく弾むサーブが打ちたいならば、次にご紹介するポイントを段階的に身に付けていきましょう。
◎膝の曲げ伸ばし
体の大きな足腰の筋肉を使って、パワーを生み出すことができます。
地面を蹴り上げる足の蹴り上げパワーを使って、膝の曲げ伸ばしと下→上の推進力が連動するように。
安定してスピンサーブが打てるようになってからでないと、打ち方が崩れてしまうかもしれませんので、まずはこれまでの打ち方がしっかり身に付いてから。
パワーがもっと欲しいという方は、トロフィーポーズで膝を曲げて左腰で壁を作り、パワーを溜めたら、そこから膝を伸ばして地面を蹴ってジャンプしてください。
もっと回転量が強くなって、跳ねるサーブとなります。
地面を蹴り上げて曲げていた膝を伸ばしと、下から上への動きと外へラケット面を振り払う動きが連動するように意識して。 力を“溜める”感覚についてついては、こちらの記事をどうぞ
跳ねさせるためには、スイングスピードを速くさせる必要があります。
グリップが重要です。
手のひらとラケット面の向きが同じでは、ラケットヘッドを返すことができません。
薄い握りの“コンチネンタルグリップ”で握ることで、手首が動かしやすくなりますし、腕をひねりながら肘を伸ばすプロネーションの動作ができるようになります。
「ラケットヘッドの返し」を意識するために、小指は握らずにグリップを握っての練習をご紹介します。
グリップを強く握り過ぎていることで、スイングスピードが上がらないという方がいらっしゃいます。
小指を抜いた分、どうしても不安定にはなると思うのですが、スイング時にラケットヘッドを走らせる感覚を得ることができます。
小指を抜くことで、強く握ることができない状態で素振りをしてみて、スイングがある程度安定してできるか確認してみて下さい。
グリップエンドの太くなっているところに指が引っかけているようにイメージでスイングです。
素振りでつかめたら、実際にボールを打っていってみて、ラケットヘッドが返る状態を確認しながら練習してみて下さい。
下の動画で河合校長が練習方法を解説しています。
サービスの技術 スイング速度をUP↑↑する練習方法
◎ヘッドスピードをup ヘッドスピードを上げることで、パワー、スピード、回転量が上がります。
ヘッドスピードを上げるためには、ラケットヘッドを走らせるプロネーション(回内)の動作は欠かせません。
フラットサーブの場合は、この回内を前に利かせますが、スピンサーブの場合は、腕をひねり上げて右上に利かせます。
このプロネーション動作をやっていても、かすれた当たりではボールに思ったようにスピードも回転も掛かりません。
正しいプロネーション動作で安定したサーブを打つための練習方法をご紹介します。
ラケットを短く握って、団扇を仰ぐようなイメージで動かします。
この動きをボールを下に向かって突く“ボール突き”を練習してみて下さい。
必ず、ラケット面を返していった時にボールと当たるところが地面に対して真っ直ぐに向くように面づくりをしていってください。
連続して自分の前の一定の場所で突けるようになれば、安定して面を返すことができている状態ということです。
ですが、ボールがあちこちにバラけてしまっているならば、安定感がないスイングなので、面を保つことでできるように練習をしていってください。
このボールに対して当たる感覚をサーブのインパクトでも生かしていきましょう。
下の動画で、河合校長が練習方法を解説しています。
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高く弾むスピンサーブ
筋力や体力に自信がないけれども、スピンサーブを使いたいという方には、「速さ」よりも「高さ」を目標にしたスピンサーブです。
高く跳ねるスピンサーブを打とうとすると、多くの方は回転量を増やそう、もっとスピンを強くかけようと考えがちだと思います。
高く弾ませるためには、ボールの打ち出し方向を上にして、山なりの軌道でボールが飛んでいってくれる必要があります。
ポイントになるのが、ボールの打ちだし角度です。
跳ねるサーブは、高い弾道で打つことが大切です。
スピードが遅くでも、地面に落ちてから跳ね上がりますので、ベテランプレイヤーや女性におススメの打ち方です。
詳しくは、こちらの記事をどうぞ
練習してみたけれどスピンがそれほど掛かってくれないという方には、スライスとトップスピンサーブのいいところ取りの“トップスライスサーブ”をおススメします。
まとめ
スピンサーブは、上級者や筋力のある方だけのものではありません。
ラケットやガットが進化してきたので、しっかり弾むスピンサーブは女性やベテラン年齢のプレイヤーでもやれないことはありません。
ただ、スピンサーブならではの回転をかける感覚をつかむまでは難しく感じるかもしれませんので、ゆっくりしたスピードで打ってしっかり感覚をみにつけるようにしましょう。
相手からすると、スピンサーブによる軌道やバウンドの変化によってリターンしづらいサーブになります。
また、自分にとってはスピン回転によって安定したサーブを手に入れることができます。
他のサーブと併せて、試合の中で使い分けていくことで、サーブキープをしやすくなっていくはずです。