テニスの試合中の緊張のほぐし方、コントロール方法【動画有】
テニスの試合中の緊張をほぐす方法、精神面のコントロール方法などを紹介します。
いざ「試合」となるといつもの力の半分も出せなかった、という声をよく聞きます。
本番になると緊張して体が固くなってしまい、練習では得意なショットがミスばかり、思ったようにプレーできない、そんな経験をお持ちの方も多いようです。
自分の100%の力を発揮できずに、まるで自分ではないようなプレーになって負けてしまうのはとても悔しいものです。
この記事ではそういった“緊張”している心理状態の考え方、どのようにコントロールするのかについてお伝えします。
緊張しているって、どういうこと?
本番前にはほとんど誰でもが緊張してしまいます。
とは言っても緊張していても、あがったりせずにむしろ緊張感を味方につけて、ふだんよりも力を発揮できるような人もいます。
この違いはどうしてなのでしょうか?
まずは人の緊張状態がなぜ起きるのかを理解することで、試合中の不安感やプレッシャーが軽くなるかもしれません。
◆緊張は人の「防衛本能」
緊張することで、以下のような緊張反応が体に出てきます。
・筋肉が固くなる ・呼吸が早くなる ・血流が早くなる ・心臓がドキドキする
|
ノルアドレナリンが多く分泌されることで交感神経が活性化され、筋肉が萎縮し心拍数・血圧が増大してそうした状態になります。
これは人が肉食獣を食料源にするために狩りをしていた大昔に、逆に肉食獣から命を狙われる状況になった時に緊張によって危機回避をしていたからと言われています。
緊張とメンタルは関係がなく、危機を感じた時に自然と出る緊張反応で、DNAに埋め込まれた生理現象
・筋肉が固くなる←毛細血管を収縮させることで、肉食獣にかまれても、血が流れることを最小限に抑えられるため ・呼吸が早くなる←酸素を多く取り入れて、頭の回転を上げて力を発揮しようとするため ・血流が早くなる←大脳に血液を一気に送り込んでいるため ・心臓がドキドキする←体がいつでも動ける状態にするため
|
このように、人は生き延びるために防衛反応が強化されて、緊張する場面で体に反応が出るようになったのです。
人が緊張してしまうのは、持てる力を全部使って生き延びようとする生理現象だったのです。
ということで、適度な緊張感はその人が持っている力をできる限り引き出すためにとても大切なものです。
緊張感があった方がよい結果となることがあるのはこのためです。
とはいえ、緊張しすぎによって本来の力を発揮できないことがあります。その理由を次に紹介します。
いい緊張状態が一番いい
試合になると緊張してしまうというのは、ごく自然な生理現象であるということはお分かりいただけたと思います。
それを無理に抑え込もうとしたり、「緊張していない!」と緊張している状態を認めようとしないという人は上手く力を発揮できません。
◆スポーツ心理学から、緊張とパフォーマンスの関係について
リラックス状態の方が良さそうですが、力が抜けたままでは集中力もなく、意識や筋肉の反応も遅れてしまいます。
ゲームの時に、格下の相手と思ってつい気が緩み、余裕を持ちすぎてミスしてしまうという経験をお持ちではないでしょうか?
かといって、緊張しすぎても焦りや力みが生じて体が固くなってしまったり、頭の中が真っ白になって自分をコントロールできなくなったりします。
さらには、疲労も強くなってしまいます。
一番良いのは、リラックスと緊張、興奮のバランスが上手く取れた状態です。
|
スポーツ心理学では、リラックスと緊張、興奮のバランスを表した曲線『逆U字曲線』を使って説明しています。
最大限に力を発揮できるのは、適度の緊張、興奮状態にあり、一心不乱で競技以外のことが全く気にならないような集中状態(ゾーンに入っているなどと言われる状態)です。
出典 Cramer japan
この理想的なバランスの状態は人によって個人差があります。そこで大切なのは自分の理想的な緊張レベルを把握しておくことです。
今、自分が気分を高めたいのか、鎮めたいのかを意識してその目的をはっきりさせることです。
つまり、逆U字曲線をどちらの方に移動させたいのかということです。
いいバランス状態をキープできるように意識することも大切です。
☆もっと上手くなりたい、もっと試合に勝ちたいと思っているならば
緊張をほぐす方法
試合の時にリラックスしすぎて困っているよりも、緊張してしまって困っている人の方が多いと思います。
試合でベストの力を発揮するためには、緊張し過ぎている状態をほぐす必要があります。どのようにしてほぐせるのか説明していきます。
ルーティン
ラファエル・ナダル選手が『ルーティン』を大切にしている話は有名ですよね。
ルーティンとは意識的に前もって決めている儀式のようなもののことです。
試合開始時のコイントスをしている間は左右に飛び跳ね、トスが終わるとコート後方までダッシュするほか、サービス前の動き、ポイント間の休憩時の動きなど、数多くの徹底したルーティンを行っています。
ナダル選手の逸話として2015年の全豪オープンの試合についてのものがあります。
サーブを打とうとした時に、風で倒れたナダルのボトルをボールパーソンの少年が直しに立ち上がり、ナダル選手のルーティン通りにラベルをコート側に向けて立てかけ、思わずナダルが爆笑するというものです。
こちらにその時の動画があります。
ナダル選手にとってのルーティンの大切さをよく知っていたからですね。
ルーティンは決められた行動を行うことで、自分の心身のリズムをいつも通りに整えることができます。
決められた行動をとることによって脳と心がいつも通りと感じて集中力が高まったり、筋肉が良い緊張状態になったりするからです。
行動をコントロールすることで、その行動に反応して整えられていく体の働きがあります。
試合中にできる3つの方法
世界No.1に上り詰めたナダル選手でさえも、多くのルーティンを行うことで様々なプレッシャーから逃れて、楽な気持ちでなおかつ適度な緊張感を持ってプレーができるように自分をコントロールしようとしています。
試合中にコントロールしやすいのは「心」でしょうか?「体」でしょうか?
ほとんどの場合「体」ではないでしょうか?
心と体は相関関係にあります。体がリラックスできれば心も影響を受けてリラックスできるのです。
「緊張は自分で勝手に感じているものだ」「いつも通りの自分のプレーをしよう」と思っても、なかなかできないのが人間の脳です。
けれども体の緊張を和らげる方法を知って自分なりのコツをつかめば、セルフコントロールができるようになります。リラックスして試合に臨めるようになりましょう。
①「正しい深呼吸」をする
心拍数が上がってしまってドキドキしている… 何もわからない…
と言った状態ではショットも打てなくなります。
そうした時にはポイントとポイントの間などに深呼吸を試してください。
ここで気をつけたいのが「深呼吸をして!」と言うと、まずす~っと息を吸い込んでしまうことです。
これ、ダメです。息が乱れた状態で大きく息を吸い込むと過呼吸になってしまいます。
「まず口から吐いて、次に鼻から吸う」が正しい深呼吸です。
正しい深呼吸の仕方 ①口をすぼめて、ゆっくりと空気を吐き出す ②鼻からゆっくりと息を吸い込む(胃を広げるような感じで) これを数回繰り返すと、浅くなっていた呼吸がゆったりした呼吸に変わっていき、緊張やプレッシャーから解放される感じを受けるはずです。
|
深呼吸によって、血流が良くなり筋肉が弛緩して体がリラックスしてくるはずです。
②顔を上げる(ヘッズアップ)
緊張するとどうしてもプレーが早まってしまいますし、ミスをしだすと周りを見過ぎて注意が散漫になったり、すぐに下を見てしまったりして緊張をどんどん高めてしまうことがあります。
こういう時はなるべく相手の方を見て、しっかり胸を張って顔を上げることによって、自分を堂々と見せることができます。
一時的な失敗や上手くいかないことがあっても、堂々とした積極的な態度を維持しましょう。
顔を上げて、堂々とした態度でプレー
③筋弛緩法
体がカチカチになってしまった時に使う方法です。
緊張を解く方法のひとつで、その対極にある弛緩した状態(脱力した状態)にすることでリラックスした状態を作ることができます。
筋弛緩法やり方 ③70~80%程度の力で、ぎゅーっと全身の筋肉に5~8秒位力を入れる (この時は息を吸う) ④その後、すっと力を抜いて10秒間位脱力する (この時は息を吐く) 筋肉がゆるんだリラックス感を味わう
|
慣れてくると緊張の動作をしなくても弛緩の感覚を得られるようになります。
力をぎゅーっと入れてすっと抜くと、毛細血管を血液がさーっと流れる感じがして暖かくなります。
繰り返し練習してください。
こちらの動画で、緊張をほどく方法をご覧いただけます。
まとめ
試合の時に緊張して困っている方は、緊張=ダメなものと思うのではなく、緊張するのは当たり前と思うことが大切です。
むしろ、せっかくいいプレーができるように体が覚醒してきているのに、それをマイナスに感じたり不安に感じたりすると良い状態を通り越して過緊張状態になってしまいます。
「体の準備が整った!」「いい緊張感だ!」という風にポジティブに受け取って、緊張感を楽しむようにしましょう。
無料でテニスレッスンのメルマガを毎日読める! ここをクリック‼ ↓↓↓↓↓↓↓ |