テニス目を鍛えれば試合で勝てる!?トレーニングで動体視力、周辺視野など目力をUP!【動画有】
テニスに必要な目の力には、「動体視力」、「周辺視野」や「深視力」があります。それぞれについて説明し、簡単なトレーニング方法をご紹介します。
錦織圭選手といえば、ストロークやドロップショットも素晴らしいですが、もう一つ大きな武器と言えるのは、サービスリターンです。
男子プロの時速200㎞/hを超える速さのサービスを素早い反応で返すだけではなく、厳しいところへリターンをすることがサービスする相手へのプレッシャーとなっています。
このリターンがいいというのは、錦織選手の「目の力」の要因も大きく影響しています。
テニスに必要な能力は、パワーやスピードだけではありません。
テニスではいかに正確にボールをとらえるかが重要です。テニスの練習でラリーや素振りをしたり筋トレをしても、目を鍛えようという方はなかなかいらっしゃいません。
目力を鍛えて試合に勝ちに行きましょう。
この記事の目次
動体視力とは
「動体視力」というのは、動きのあるものを見る力のことです。
一つの眼球には眼球を動かすための外眼筋という6本の筋肉があり、動体視力はこの外眼筋をどれだけスムーズに動かせるかで決まります。
この筋肉は角膜より少しはなれた強膜(しろ目)にしっかりとくっついていて、この筋肉により眼球を上下左右に動かしたり、回転させることができます。
この目のまわりの筋肉が衰えてしまうと、動体視力の働きも弱ってしまいます。
その衰えた筋力は積極的に回復させない限り、向上することはありません。
出典:視力回復の研究ノート
動体視力と静止視力の違い
視力検査で測る視力を「静止視力」といいます。一般的に1.5とか0.7とか言っている視力はこの静止視力のことです。
止まった状態で、止まっているモノを見る能力です。
眼球内部には焦点システムがあり、この焦点を使って見るのが静止視力です。
動体視力は眼筋を使って見るので、静止視力はよくても動体視力がよくなかったり、その逆の場合もあります。
テニスプレーヤーに必要なのは、静止視力よりも動体視力です。
動体視力は、静止視力とは違ってトレーニングすることで比較的簡単に鍛えることができます。
年齢による「動体視力」の変化
ピークは20歳、加齢による衰えは40代から
動体視力は成長とともに発達しますが、20歳頃まで発達し続けた後少しずつ衰え始めて、40代を超えた辺りから衰えが早くなり、60代から急激に衰えます。
65歳以上になると、三分の二まで下がると言われています。
年齢とともに眼筋が衰えることで、眼球をきちんと動かせずに動体視力も低下してしまうのです。
動体視力が衰えると、自動車や自転車に乗っている時に信号や標識などを見落としてしまったり、歩行者や対向車への対応が遅れてしまって交通事故を引き起こす危険もあります。
また、「周辺視野」も年齢とともに下がっていき、65歳以上では極端に視野が狭くなるそうです。
このようなことから、70歳以上の方が自動車の普通免許の更新する時には動体視力検査が実施されています。
動体視力は5歳から10歳までの幼少期に鍛えることでピーク時の上昇率が相当違ってくるそうなので、我が子をプロ選手にと思っている方は、動体視力トレーニングを取り入れることも検討してみてください。
そして40代を超えた方は「衰えていくばかりか…」と諦めなくても大丈夫です。眼筋も通常の筋肉と同様にトレーニングすることで発達し、結果として動体視力を向上させることができます。
動体視力の2つの種類
動体視力は、実は1つではなく2つの種類があります。
「DVA(Dynamic Visual Acuity)動体視力」と「KVA動体視力」(Kinetic Visual Acuity)です。
どちらも動いているものを見る能力ではありますが、異なる点がありますので、それぞれの特徴を簡単に説明します。
「DVA動体視力」
DVA動体視力・・・ 横方向または上下方向に動くものを見る力 |
「DVA動体視力」は、外眼筋を素早く正確に動かす能力です。
動いているものを見る時に私たちは、動きを予測して予測した地点へと目線を先回りさせています。
「DVA動体視力」が良いという場合、動いているものに対する予測が正確で予測した地点への目線の移動が早ければ、高速で動くものも正しく認識することができます。
テニスと同じように、高速のボールをバットの芯でとらえることでヒットやホームランを打つ野球選手のDVA動体視力の高さを物語るエピソードを紹介します。
王貞治さん
「ホームランを打つ瞬間はボールが止まって見える」
「ホームで通過する新幹線の車内に知人が乗っているのが確認できた」
イチロー選手
子どもの頃から対向車のナンバーを読み取り、それを瞬時に暗算で足すということを日常的にやっていたそうです。
8桁の数字を0.1秒だけ表示させて数字を答えるテストで、他の選手の平均が4桁であったのに対して、イチロー選手は7桁まで正解だったそうです。
著者 Keith Allison
「KVA動体視力」
外眼筋を使わない動体視力が「KVA動体視力」です。 |
近づいてくるモノを正確に見る能力です。こちらは外眼筋ではなく、目のレンズである水晶体の反応速度が重要になります。
水晶体のピント調整をいかに素早くできるかで、前後に動くものを正確に認識することができるかが決まってきます。
テニスは予測することが大変重要なスポーツです。相手のラケットの動きや面の向きを見てボールがどこに飛んでくるかを予測し、相手の位置、態勢、目線などをも見ながら相手の困るところへ打っていく判断をしていかなければいけません。
そのため、どちらの動体視力の能力も必要不可欠なものです。
錦織圭選手の動体視力はもともと良さそうですが、米国留学当初に錦織のコーチを務めた米沢徹氏によると
“反射神経も動体視力も良い選手ではなかった”
そうです。
錦織選手の育ったIMGアカデミーは、テニスのトレーニングだけではなく、メンタル、フィジカルトレーニングのほかに目の力を鍛えるビジョントレーニングなどテニスに必要な様々なトレーニングを受けることができます。そういった環境で努力して動体視力を高めていったことで速いボールへの対処ができるようになり、現在の活躍につながっているのでしょう。
著作者 Diliff
動体視力を鍛えることで得られる3つの効果
動体視力を鍛えることでどのような効果があるのでしょうか?
動体視力のトレーニングを紹介する前に効果について知っておきましょう。
★反射神経が良くなる
人間は、情報の約80%を目から取り入れて、その状況を判断して行動しています。
行動するまでの3つのプロセス 「見る」⇒「判断」⇒「動作」 |
「反射神経」が良いと言われているのは、この3つのプロセスのうち見てから判断するまでに要する時間が短いため、脳の判断や指令を待たずに無意識に動いているかのように素早く行われる動きのことです。
動体視力を鍛えることでモノを素早く正確に見ることができるようになり、判断に必要な情報が素早く伝わるため動きをスピーディーに整えていくことができるようになります。
★集中力、判断力があがる
動体視力が高ければ目から素早く正確な情報をとらえることができ、得た情報の脳内処理が素早く行われることによってボールへの集中力、全体のゲームの判断力も上がってきます。
★余裕ができる
動体視力が高まることで、早めの予測ができるようになります。
そのため、次のボールを打つまでのコンマ何秒かの時間のゆとりが持てるようになります。
そのおかげで自分のリズムで打つことができ、体力や精神的にも余裕ができるようになります。
周辺視野を広げる
テニスでは相手のボールの弾道を見て、どの辺りにボールが弾んでくるかを予測する必要があります。
特にダブルスでは、ボールが来る前に前衛の位置なども見ながらも予測しなければいけません。
周辺視野が広く見えた方がコート全体を冷静に把握でき、次への予測がより正確にできるようになります。
しかし、一般プレーヤーは相手の動きが気になってボールに集中できないケースが多くあります。
テイクバックではボールに集中して、周辺視野で相手をしっかり確認できるようにしていきましょう。
テイクバックはボールに集中、相手は周辺視野で確認
「周辺視野」が広いというのは 1点を見たときに、どれくらい広く周辺のモノを認識することができるかということです。 |
周辺視野は、全体視野の90%を占めますが、トレーニングで鍛えない限りはっきりと見えません。
というのも、網膜の中心部は感度が高いので色や形を正確に捉えることができますが、網膜の周辺は感度が低くなっているので、見えているけれどきちんと認識できていません。
これが中心部は見えても、端が見えにくいと言われる理由です。
周辺視野はトレーニングして鍛えていかないとどんどん狭くなってきます。
あとでご紹介するトレーニング方法で、広い周辺視野を持てるようにしていきましょう。
☆もっと上手くなりたい、もっと試合に勝ちたいと思っているならば
深視力を高める
ここまで動体視力や、周辺視野といった言葉は知っていても、「深視力」という言葉はご存知の方はあまりいないかもしれません。
大型免許や2種免許は取得するのに、通常の視力検査に加えて深視力検査も合格する必要があります。
人間は2つの目を持っていますが、左右それぞれの目でモノを見ているにも関わらず1つの絵として認識しています。
実際には、左目で見ている絵と右目で見ている目の間には微妙なずれがあり、そのずれを修正して、正しく遠近感や立体感を捉えることができる能力が深視力です。
左右それぞれの目のズレを修正する深視力
深視力も、トレーニングによって、目の筋力を鍛えることで向上させることができます。
目の力をアップさせるトレーニング方法
★動体視力トレーニング方法
動体視力を高めるには、目の周りの筋肉を鍛える必要があります。
1.上下に眼球を動かします。 |
以上を1セットとして、1日5セットを目安に行ってください。
こうしたトレーニングは通常の筋力トレーニングと同じで、やり過ぎにならないよう疲れたら休憩して目を休めながら行いましょう。
さらに慣れてきたら、指先を追うトレーニングも加えてください。
横の動き 1.手の親指を前に出して肩幅程度に広げます。 2.顔を動かさず、両方の指の爪先を交互に1秒ずつくらい、できるだけ早く焦点を合わせて見ます。 |
★深視力トレーニング方法
ボールが短く来るのか、深く来るのかといった判断をするのに役に立つのが「深視力」です。
こちらの能力も高めるようにしていきましょう。
それぞれのトレーニングとも30秒位を1セットとして、1日5セットを目安に行ってください。
左右、上下、前後 この3つの眼球運動をすることによって、動くものを視線で正確に捉えることが強化されます。
これを練習の前などに行うことで、動体視力を鍛えることが出来るようになります。
こちらの動画で動体視力のトレーニング方法をご覧いただけます。
★周辺視野トレーニング方法
視線の中心だけではなく、見ているモノの周りをなるべく広く見られるようになるトレーニングを紹介します。
①まずは、ふだんから周辺視野を使って見るようにすることです。
視線は前の1点だけに当てたまま、周りの様子を見るようにする。
②そのほかに、1つの点の周りに文字や記号を書いて中央の点から視線をずらさずに周りの文字を認識していく方法もあります。
★そのほかトレーニング方法、器具
インターネット上には動体視力を鍛えるための動画やゲーム、ソフト、アプリなど無料のものでも色々なものがあります。
自分の好みのものでトレーニングしてみてください。
ただし、PCやスマホの画面を見続けることはかえって目が疲れてしまうのでご注意ください。
そのほか、動体視力トレーニング用の専用めがねというものもあります。
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ビジョナップとは?との疑問にお答えするべく、メーカーの方とテニスライズスタッフによる紹介動画を作成しました。
テニスでの効果としては…
集中力や判断力が向上し、パフォーマンスがアップします。
実際にビジョナップを使用するとどのような感じなのか?
ビジョナップをつけている最中は、メガネレンズ部分の点滅する光でプレーがしづらくなります。
使用している最中、外した後のプレーの感想の動画はこちらから。
まとめ
テニスで勝てるようになるためには、テニスの練習だけでなく、目の力をアップさせることが有効であるということがお分かりいただけたでしょうか?
スマホを見たり、パソコン仕事などが多くなっている方は、眼球を動かすことが少なくなっていると思いますので、この記事を参考にして「目の力」を高めていくようにしてみてください。