硬式テニスとソフトテニスの違い。違うスポーツなの?【動画有】
テニスには、「硬式テニス」と「ソフトテニス」の2種類があります。
「ボールの違い」をはじめ、「ラケットの違い」「ネットの高さの違い」など様々な違いがあります。
なぜ2種類あるのかな? どんな違いがあるのかな?
と疑問に感じていらっしゃる方も多いことと思います。
ご自身がこれからテニスを始めようとお考えの方、お子様にどちらを勧めようかなと迷っていらっしゃる方に、今回は「硬式テニス」と「ソフトテニス」の違いをお伝えします。
なお、「ソフトテニス」は1992年にルール改定があり、その際、名称が軟式テニスから変更されました。
硬式テニスは本来は単に「テニス」ですが、今回は「硬式テニス」と書かせていただきます。
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この記事の目次
発祥の違い
テニスには、なぜ硬式・軟(ソフト)式があるのでしょうか?
その理由は、それぞれの発祥にあります。
硬式テニスの発祥はフランス
現代のテニスの原型と一般に認知されているのは、11~12世紀にフランスの修道院で考え出された、フランス語で「手のひら(paume)の遊び、ゲーム」を意味する「ジュ・ド・ポーム」(jeu de paume)です。
その後、16世紀から17世紀にかけてヨーロッパの貴族の間で大流行し、ルールや道具の改変が起こって現在のテニスの原型が出来ました。
日本にテニスを伝えたのはアメリカ人のリーランドという教師でした。1878年のことでした。
それから横浜の山手公園に外国人のためのテニスクラブが誕生し、だんだん日本中に広まっていきました。
硬式テニスの起源や歴史のことを詳しくお知りになりたい方は下の記事も併せてお読みください。
ソフトテニスは日本生まれ
ソフト(軟式)テニスは、硬式テニスから枝分かれしたスポーツです。
テニスが日本に伝わった後、1886年に当時の東京高等師範学校、現在の筑波大学にローンテニス部が生まれましたが、テニスボールがとても高価、かつ手に入りにくかったので、その代わりにゴムボールを利用したことが軟式テニス、現在のソフトテニスの原点です。
以後、日本ではソフトテニスが爆発的に普及しました。
ソフトテニスの発祥地は、日本なんですね。
現在の日本のソフトテニス愛好家の人口は、約700万人と推計されています。(硬式テニスは推計約450万人)
そんな「発祥の違い」があるソフトテニスと硬式テニスですが、内容にはどんな違いがあるでしょうか?
主な違いをあげてみます。
結構違いますね。
ひとつひとつご説明して行きましょう。
ボールの違い
硬式テニスとソフトテニスではボールが違います。最も大きな違いはこれです。
その違いを見てみましょう。
材質の違い
硬式テニスのボールは、厚くて硬いゴムのボールに「メルトン」と呼ばれるフェルトでおおわれています。
画像 DUNLOP
ソフトテニスのボールもゴム製ですが、フェルトはありません。力いっぱい握れば押しつぶせるぐらい柔らかい。
画像 DUNLOP
大きさ・重さの違い
大きさは、硬式テニスもソフトテニスも6.5cmぐらいであまり変わりはありませんが、重さは硬式が56~59グラムぐらいなのに対し、ソフトテニスはそのおよそ半分の30グラムぐらいです。
ソフトテニスのボールは、軽いので風の影響を大きく受けます。
硬式テニス | ソフトテニス | |
材質 | 硬くて厚いゴムに表面フェルト | 柔らかくて薄いゴム |
重さ(g) | 56~59.4 | 30~31 |
直径(cm) | 6.54~6.86 | 6.6 |
バウンドの違い
硬式テニスの場合、ボールのバウンドは254cm(100インチ)の高さから強固な平面に落下させたとき、134.62 cm(53インチ)~147.32 cm(58インチ)の高さまで弾まないといけません。
ソフトテニスの場合、ボールの下端が1.5mの高さから落として、70~80cmバウントするもの、となっています。
硬式テニスのボールは後からの空気補充はできませんが、ソフトテニスのボールは空気の充填が可能で経済的です。
ラケットの違い
硬式テニス・ソフトテニスではボールの重さが違うため、使うラケットにも違いがあります。
一般的な傾向として、
重さが違う
硬式テニスラケットは、重いボールを遠くに飛ばすため、フレームの強度が高く、重量も重めです。ソフトテニスは、軽いボールを扱うのでラケットは軽めです。
■硬式テニスラケット…250g~340g
■ソフトテニスラケット…180g~270g
ガットの硬さ(張る力)が違う
一般的には、ラケットに張るガットのテンションは硬式テニスのラケットでは硬めで、ソフトテニスのラケットでは柔らかめです。
■硬式テニスラケット…40ポンド~60ポンド
■ソフトテニスラケット…25~30ポンド
ラケット面の大きさが違う
一般的には硬式テニスのラケットのほうが面(ガットが張ってあるところ)が大きい
■硬式テニスラケット…95~135平方インチ
一般的には、100平方インチを中心に±5ぐらい
■ソフトテニスラケット…一般的には90平方インチを中心に±10ぐらい。
以上、ラケットの「重さ」「ガットを張る強さ」「ラケット面の大きさ」の違いをご説明しましたが、硬式テニスもソフトテニスもメーカーや材質の種類、形状がたくさんありますので、あくまでも「一般的な傾向としての違い」ということです。
軽い硬式テニスのラケットよりも重いソフトテニスのラケットがありますし、ガットのテンションも、硬式でごく稀に30ポンドで張っているプレーヤーもいます。
面の大きさも、硬式で85平方インチのプレーヤーや軟式で100平方インチのプレーヤーがいます。
ラケットの長さ | 73.66cm(29インチ)未満 |
フレームの全幅 | 31.75cm(12.5インチ)未満 |
ストリング面の全長 | 39.37cm(15.5インチ)未満 |
ストリング面の全幅 | 29.21cm(11.5インチ)未満 |
ラケットの重さ | 規定なし |
意外なことに、軟式テニスのラケットには、材質、寸法、重量、形状に関する規定がありません。(日本ソフトテニス連盟 協議規則第14条)
日本ソフトテニス連盟が認めた公認マークがついていることという規則だけです。
画像 shocora
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ネットの高さの違い
硬式テニスで使うコートと軟式テニスで使うコートは、ほぼ同じです。
コートの長さも幅も全く同じ。ネットからサービスラインの距離も一緒。
コートサーフェスは「クレーコート」や「オムニコート」など様々ですが、どれも硬式専用とか軟式専用というものはありません。
ただ、ネットの高さが少しだけ違います。
硬式テニスはネットの左右の端が1.07mで中央が91.4cmですが、ソフトテニスは端も中央も1.07mで水平に張ります。
そのために、硬式テニスではネットのセンターに「ネットストラップ」というベルトがあります。
硬式テニスでは、この15cmほどのネットの高さの違いを考慮して打球の高さやスピードを変化させ、攻撃や守りに利用します。結構重要な「高低差」です。
軟式テニスで、硬式テニスのコートを使うことは全く問題がありません。
ネットストラップを外してしまえばいいからです。
しかし時々ソフトテニス専用のコートがあって、ネットストラップを取り付けるフックがない場合があります。
練習ならできますが、試合となると無理です。
また、ソフトテニス専用のコートでは、シングルスのサイドラインがない場合もあります。
ソフトテニスはダブルスが中心なので、シングルスのサイドラインがあまり必要ではないからなのでしょう。
ネットストラップやコートのサイズなどをもっと詳しくお知りになりたい方は下の記事もご参考に。
カウントのコールの仕方の違い
硬式テニスでのポイントは0、1、2、3ではなく、ラブ(0)、フィフティーン(15)、サーティー(30)、フォーティー(40)、ゲームと数えます。
なぜこのような数え方になったのかについてはいくつかの説があるようです。
詳しくお知りになりたい方は下の記事をご覧ください。
一方、ソフトテニスの場合は、取ったポイントそのまま、ゼロ(0)、ワン(1)、ツー(2)、スリー(3)、ゲームと数えます。
ソフトテニスの数え方は、日本人にはわかりやすいですね。
2ポイント対3ポイントは、「ツー・スリー」ですから。
硬式テニスの場合は「サーティー・フォーティー」です。
3ポイント対3ポイントは硬式テニスもソフトテニスも同じ「デュース」とコールします。
打ち方や打球感の違い
フォアハンドストロークやサーブの打ち方は、硬式テニスとソフトテニスであまり変わりませんが、バックハンドの打ち方はかなり違います。
硬式テニスは、フォアハンドとバックハンドは握り変えを行って、違う面で打ちます。
一方、ソフトテニスは、ウェスタングリップで、フォアハンドもバックハンドも握り変えず同じ面で打ちます。
面の使い方は特にルールで決められたものではありません。あくまでも一般的には、ということです。
グリップの握り方については下の記事をご覧ください。
打球感は全く違います。
硬式テニスのボールの重さは軟式テニスのボールの約2倍ありますので、インパクトの時の衝撃は硬式の方が大きくなります。
ソフトテニスの選手は、かなり「手ごたえのある球」を打っているのですが、硬式テニスに慣れた人がソフトテニスをやると「手ごたえがない」と感じてしまうという人が多いようです。
両立はできるのか?
年に数回、お遊び程度に楽しむのでしたら硬式をやったり、軟式をやったりするのも楽しいかもしれません。
しかし、硬式テニスとソフトテニスを高いレベルで両立することは「絶対に無理」とは言い切れませんが、極めて難しいでしょう。
硬式テニスとソフトテニスは、「ボール」や「ラケット」や「打ち方や打球感」や「点の取り方」が、同じようで微妙に違う2つのスポーツです。
例えば「水泳とテニス」とか「スキーとゴルフ」など、動きも感覚も全く違うスポーツであれば高いレベルでも比較的両立しやすいです。
スポーツの上達は、反復練習によって動きや感覚を脳と身体に覚えこませる作業なので、「似ているけれど体の使い方や感覚が微妙に違うスポーツ」は同時にレベルを上げていくことが難しいのです。
ちなみに、軟式テニスと硬式テニスの対戦がYouTubeにいくつかありましたのでご覧ください。
硬式テニス・ソフトテニス、どちらのプレーヤーも、一流になるといい試合しますね。
そして、どちらのプレーヤーも楽しそうです。
【テニス初心者の方に参考になりそうなおススメ記事】
まとめ
これからテニスを始めようとお考えの方、お子様に硬式テニスとソフトテニス、どちらを勧めようかなと迷っていらっしゃる方に、今回は「硬式テニス」と「ソフトテニス」の違いをお伝えしました。
同じ「テニス」という名前が付いていて、共通点も多いですが、違うところも多いですね。
硬式テニスとソフトテニスは、どちらが上とか下とかではなくて「似ているけれど違うスポーツ」と考えたほうがいいでしょう。
そして、硬式テニスは硬式の、ソフトテニスはソフトの、面白さやスポーツとしての素晴らしさがあると思います。
ちなみにソフトテニスにも「世界選手権」があります。
1975年からスタートし、今は4年ごとに開催されています。2007年の第13回大会には42か国が参加したそうです。
これからも、両方のテニスが発展して、みなさんの楽しい生活の一部になるといいですね。